カンピロバクターについて

カンピロバクターは、鶏や牛などの家畜をはじめ、ペットや野鳥、野生動物など、さまざまな動物の腸管内に存在する細菌です。

特に、生や加熱が不十分な鶏肉を原因とする食中毒で知られており、調理の際に手や包丁、まな板などを介して別の食品へ菌が移る「二次汚染」にも注意が必要です。

カンピロバクターは比較的少ない菌量でも感染が成立することが知られています。食品を中心まで十分に加熱することに加え、生肉を扱った後の手洗いや調理器具の衛生管理を徹底することが予防の基本です。

カンピロバクターとは?

カンピロバクターは、鶏や牛などの家きん・家畜のほか、ペット、野鳥、野生動物など、多くの動物が保菌している細菌です。

人の食中毒から検出されるものとしては、「カンピロバクター・ジェジュニ」と「カンピロバクター・コリ」が代表的です。

カンピロバクターは、ヒトや動物の腸管内で増殖し、乾燥に弱く、通常の加熱調理によって死滅するという特徴があります。一方で、数百個程度という比較的少ない菌量でも感染が成立するとされています。

そのため、食品の見た目やにおいだけで安全かどうかを判断することはできません。

カンピロバクターはどこにいる?

カンピロバクターを保菌することがある動物と注意したい鶏肉のイラスト

カンピロバクターはさまざまな動物が保菌していますが、食中毒との関係で特に注意したいのが鶏肉です。

健康な鶏でも腸管内などにカンピロバクターを保有している場合があり、食鳥処理の過程などで鶏肉に菌が付着することがあります。

そのため、「新鮮な鶏肉だから生で食べても安全」ということではありません。

鶏刺し、鶏肉のたたき、鶏わさなどの生・半生の料理や、中心部まで十分に火が通っていない鶏料理は、カンピロバクター食中毒の原因となる可能性があります。

主な感染経路

カンピロバクターによる食中毒では、主に次のような経路に注意が必要です。

  • 生または加熱不足の鶏肉などを食べる
  • 生肉を扱った手から、ほかの食品へ菌が移る
  • 生肉に使用した包丁やまな板から、加熱せずに食べる食品へ菌が移る
  • 生肉のドリップが、ほかの食品に付着する
  • 十分に衛生管理されていない水を飲む
  • 動物に触れた後、十分に手を洗わずに飲食する

特に注意したいのが、生肉からほかの食品へ菌が移る「二次汚染」です。

二次汚染に注意

生の鶏肉から手や調理器具を介して食品へ二次汚染するイメージ

例えば、生の鶏肉を切ったまな板や包丁を十分に洗浄せず、そのままサラダ用の野菜や調理済み食品に使用すると、鶏肉に付着していた菌が食品へ移る可能性があります。

サラダや果物など、その後加熱せずに食べる食品に菌が付着すると、加熱によって菌を減らす工程がありません。

また、生肉を触った手で蛇口、冷蔵庫の取っ手、調味料の容器などに触れることで、周囲へ菌を広げてしまうこともあります。

生肉を扱う工程と、そのまま食べる食品を扱う工程をできるだけ分けることが大切です。

生の鶏肉を水で洗わない

生の鶏肉を水で洗うと水はねで周囲へ菌が広がるおそれを示したイラスト

生の鶏肉を調理する前に水道水で洗うことは、食中毒予防にはつながりません。

鶏肉を水で洗うと、水はねと一緒に食中毒菌がシンク、調理台、調理器具、周囲の食品などへ飛び散る可能性があります。

ドリップなどが気になる場合は、キッチンペーパーなどでふき取り、使用したペーパーはすぐに処分しましょう。

その後、生肉に触れた手を石けんと流水で丁寧に洗います。

おもな症状

生の鶏肉を水で洗うと水はねで周囲へ菌が広がるおそれを示したイラスト

カンピロバクターに感染すると、一般に1~7日程度の潜伏期間を経て、次のような症状がみられることがあります。

  • 下痢
  • 腹痛
  • 発熱
  • 吐き気・嘔吐
  • 頭痛
  • 悪寒
  • 倦怠感

多くの場合は1週間ほどで回復するとされていますが、乳幼児や高齢者など抵抗力の弱い人では重症化する場合があります。

また、カンピロバクターに感染した数週間後に、まれに手足の麻痺、顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合があることも指摘されています。

症状が強い場合や長引く場合、体調に不安がある場合は、医療機関へ相談しましょう。

予防の基本① 中心まで十分に加熱する

カンピロバクターは通常の加熱調理によって死滅するため、鶏肉などを中心部まで十分に加熱することが重要です。

加熱の目安は、食品の中心部を「75℃以上で1分間以上」です。

表面に焼き色が付いていても、厚みのある肉などでは中心部まで十分に火が通っていない場合があります。

唐揚げ、焼き鳥、チキンステーキなどを調理するときも、中心部分までしっかり加熱されていることを確認しましょう。

また、「新鮮だから安全」「表面だけ加熱すれば大丈夫」と考えず、生や加熱不足の鶏肉を避けることが重要です。

予防の基本② 生肉とほかの食品を分けて扱う

生肉からほかの食品へ菌を移さないため、調理工程を分けて管理しましょう。

  • 野菜など加熱せずに食べる食品を先に調理する
  • 生肉はできるだけ最後に切る
  • 生肉用とその他の食品用で包丁やまな板を分ける
  • 生肉のドリップをほかの食品に付着させない
  • 冷蔵庫では容器や保存袋に入れ、ほかの食品と分けて保存する
  • 調理済み食品と生肉を接触させない

調理器具を共用する場合は、生肉を扱った後に洗剤で十分に洗浄し、必要に応じて熱湯や塩素系漂白剤など、それぞれの器具に適した方法で衛生的に管理しましょう。

予防の基本③ 生肉を触った後は手を洗う

調理を始める前だけでなく、生肉を扱った後の手洗いも重要です。

生肉に触れた手には、目に見えなくても食中毒菌が付着している可能性があります。

そのまま別の食品や食器、調理器具などに触れると、菌を周囲へ広げる原因になります。

特に、次のようなタイミングでは石けんと流水による手洗いを行いましょう。

  • 調理を始める前
  • 生の肉を触った後
  • 別の食品を扱う前
  • トイレの後
  • ペットなどの動物に触れた後

家庭や施設で覚えておきたいポイント

鶏肉の十分な加熱と手洗いなどカンピロバクター食中毒予防のイラスト

カンピロバクター食中毒の予防では、「十分な加熱」と「二次汚染を防ぐこと」の両方が重要です。

  • 生や加熱不足の鶏肉を食べない
  • 「新鮮だから安全」と判断しない
  • 肉の中心部を75℃以上で1分間以上加熱する
  • 生の鶏肉を水で洗わない
  • 生肉とそのまま食べる食品を分けて扱う
  • 生肉に使った包丁やまな板を適切に洗浄する
  • 生肉を触った後は石けんと流水で手を洗う
  • 生肉のドリップをほかの食品へ付着させない
  • 冷蔵庫内でも生肉とほかの食品を分けて保存する

カンピロバクターは目で見ることができず、食品の見た目やにおいだけで安全かどうかを判断することはできません。

生肉には食中毒菌が付着している可能性があることを前提に、加熱、手洗い、調理器具の管理など、基本的な衛生管理を続けることが食中毒予防につながります。

出典・参考情報(官公庁・公的機関公表資料)

注記:本ページは、カンピロバクターおよび食中毒予防に関する一般的な情報提供を目的として、公的機関等の公表資料をもとに作成しています。掲載内容は診断や治療に代わるものではありません。下痢や腹痛、発熱などの症状が強い場合や長引く場合、体調に不安がある場合は、医療機関へご相談ください。