ピロリ菌について

現在、がんで亡くなる方は年間約36万人、このうち胃がんが約5万人を締めています。
胃がんによる死亡者数は男性では肺がんに次いで2位、女性では、大腸がん、肺がんに次いで3位であり、医療が進歩した現在においても依然、日本人を苦しめています。
胃がんの原因はピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)であることが明らかとなり、ピロリ菌に対する除菌治療も確立されています。

ピロリ菌とは?

ピロリ菌イメージピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)は口腔内や唾液、糞便からピロリ菌の菌体や遺伝子が検出されます。このことからピロリ菌は主に口から口を介して、あるいは糞便から口の経路でヒトからヒトへと感染すると考えられています。
主に胃酸による殺菌作用が十分でない小児期に主にピロリ菌が感染します。
ピロリ菌に感染していても患者さんも医師も特別な検査をしない限り、その感染には気づきません。自覚症状が少なく、特異的な症状とはいえないですが、放置しておくと胃や十二指腸にまでがんを引き起こしてしまう可能性があります。

ピロリ菌検査の検査方法

内視鏡を用いる方法・・・
①ピロリ菌の培養を行う方法(培養法)
②顕微鏡でピロリ菌を直接観察する方法(鏡検法)
③ピロリ菌が生産するアンモニアを科学的に検出する方法(迅速ウレアーゼ法)

ピロリ菌検査方法内視鏡を用いない方法・・・
①血液や尿中のピロリ菌に対する抗体を検出する方法(尿素呼気試験法)
②便中のピロリ抗原を検出する方法(抗体測定)
③検査薬を服用し、呼気中の二酸化炭素を検出する方法(便中抗原測定法)

名古屋市では20~39歳の方を対象にピロリ菌検査を1人1回まで無料で行っています。
40~59歳の方は1人1回まで胃がんリスク検査を行っています。

ピロリ菌除菌治療

胃酸分泌抑制薬と2種類の抗菌薬の3つの薬が一般的です。
1週間服用することにより、70~90%の方は除菌に成功すると言われています。
除菌に失敗した場合は二次除菌を受ける必要があります。

ピロリ菌感染は胃がんのリスクを高めることがわかっています。
まずは自分が胃がんになりやすいかそうでないかを確認して、一度もピロリ菌に感染したことがないのかを把握しましょう。
健康な胃のために、胃がんで命を落とさないために、胃がん検診を行いましょう。