秋は、運動会、遠足、ピクニック、行楽など、家族でお弁当を持って出かける機会が増える季節です。夏の暑さが落ち着いてくると食中毒への警戒も緩みがちですが、9月はまだ気温の高い日もあり、作ったお弁当を常温で持ち歩く時間が長くなる場合があります。
農林水産省では、遠足・運動会・行楽シーズンのお弁当について、調理前の手洗い、食材の十分な加熱、ごはんやおかずを冷ましてから詰めること、汁気を減らすこと、保冷剤や保冷バッグを使用することなどを案内しています。
今回は、秋の行楽や運動会を安心して楽しむために、お弁当を「作るとき」「詰めるとき」「持ち運ぶとき」「食べるとき」に確認したい食中毒予防の基本を紹介します。
秋の行楽シーズンもお弁当の食中毒に注意
秋になると真夏ほど気温が高くない日も増えますが、日中は気温が上昇することがあります。運動会や行楽では、お弁当を朝に作ってから昼まで持ち歩いたり、屋外や車内に置いたりすることもあるため、食品の温度管理には引き続き注意が必要です。
食中毒を防ぐ基本は、原因となる細菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」ことです。お弁当では、家庭で調理した後に持ち運ぶ時間が加わるため、調理時だけでなく保存方法まで含めて考えましょう。
- 調理前にしっかり手を洗う
- 清潔な調理器具や弁当箱を使用する
- 加熱が必要な食品は中心まで十分に加熱する
- ごはんやおかずを冷ましてから詰める
- 汁気や水分をできるだけ減らす
- 保冷剤や保冷バッグを利用する
- 食べるまでできるだけ涼しい場所で保管する
- 作ったお弁当は早めに食べる
「秋だから大丈夫」と考えず、その日の気温や持ち運ぶ時間、保管場所を確認することが大切です。
調理を始める前に手洗いと調理環境を確認する

農林水産省は、食中毒予防の第一歩として正しい手洗いを挙げています。調理を始める前だけでなく、生の肉や魚、卵などを触った後や、トイレを利用した後などにも手を洗いましょう。
- 調理前に石けんと流水で手を洗う
- 生肉や魚、卵を触った後に手を洗う
- トイレを使用した後に手を洗う
- 弁当箱や菜箸、盛り付けカップを清潔にする
- 洗った調理器具は十分に乾燥させる
- 調理台の汚れを取り除いてから作業する
生の肉や魚を扱った包丁やまな板を、そのまま加熱済みの食品や生で食べる食品へ使用しないよう注意します。調理器具を分けるか、使用後に十分洗浄してから次の作業へ移りましょう。
おにぎりは素手で握らずラップや使い捨て手袋を活用する

おにぎりは、運動会や遠足のお弁当の定番ですが、直接手で握ると、手に付着していた細菌が食品へ移る可能性があります。
農林水産省では、おにぎりを作る際に、ラップや使い捨て手袋を使用することを勧めています。
- おにぎりを作る前に手を洗う
- ラップや清潔な使い捨て手袋を利用する
- 調理途中で顔や髪、スマートフォンなどへ触れた場合は再度手を洗う
- 使用した手袋で別の作業を続けない
2026年8月にも農林水産省は、高温下では黄色ブドウ球菌が増えやすいとして、おにぎりやお弁当について、調理前の手洗い、素手で食品へ触れないこと、保冷して早めに食べることを呼びかけています。
肉・卵などのおかずは中心まで十分に加熱する

ハンバーグ、唐揚げ、玉子焼きなどは、お弁当によく使われる一方、中心部まで火が通っているか確認することが重要です。
厚生労働省は、家庭での食中毒予防について、加熱して調理する食品は中心部まで十分に加熱し、目安として中心部を75℃で1分間以上加熱することを案内しています。
- 肉料理は中心部の色や加熱状態を確認する
- 卵料理は半熟状態を避け、十分に加熱する
- 冷凍食品は表示された調理方法に従う
- 作り置きのおかずは詰める前に十分再加熱する
- 再加熱した食品も冷ましてから弁当箱へ入れる
前日の夕食の残りなどをそのまま詰めるのではなく、冷蔵保存したものを十分に再加熱してから使用しましょう。
ごはんやおかずは十分に冷ましてから詰める

温かいごはんやおかずをすぐに弁当箱へ詰めてフタをすると、内部に蒸気がこもり、水分が増えます。農林水産省は、この水分が食品の傷みにつながるため、十分に冷ましてから詰めるよう案内しています。
- ごはんやおかずを常温程度まで冷ます
- 冷ます間も清潔な場所で管理する
- 温かい食品と冷たい食品を一緒に詰めない
- 十分に冷めてからフタを閉める
ただし、「冷ますため」と長時間室温に放置することも避けましょう。調理後は衛生的な場所で速やかに冷まし、弁当箱へ詰めます。
おかずの汁気・水分をできるだけ減らす
農林水産省は、お弁当では水分が多いと細菌が増えやすくなるため、おかずの汁気をよく切ることを案内しています。
- 煮物などは汁気を十分に切る
- 仕切りや盛り付けカップを活用する
- 生野菜や果物はよく洗って水気を切る
- 水分の多い食品は別容器へ入れることも検討する
- 揚げ物や焼き物など比較的水分の少ないおかずを活用する
食品同士の汁が混ざることを防ぐためにも、仕切りやカップを上手に使いましょう。
長時間持ち歩くときは保冷剤・保冷バッグを利用する

調理したお弁当を温かい場所へ長時間置いておくと、食品中の細菌が増えやすくなります。農林水産省では、長時間持ち歩く際は保冷剤や保冷バッグを利用するよう案内しています。
- 十分に冷ましたお弁当を保冷バッグへ入れる
- 保冷剤を一緒に入れる
- 直射日光の当たる場所へ置かない
- できるだけ涼しい場所で保管する
- 目的地に冷蔵庫があれば利用する
- 車内へ長時間置いたままにしない
運動会ではテントや日陰、行楽では保冷バッグなどを活用し、食べるまでできるだけ低い温度を保ちましょう。
食べる前にも手を清潔にする
せっかく衛生的にお弁当を作っても、食べるときの手が汚れていれば、食品へ細菌などが移る可能性があります。
農林水産省では、お弁当を食べる前にも手をきれいにするよう案内しています。
- 流水が使える場合は石けんと流水で手を洗う
- 水で手を洗えない場合は手指消毒剤などを活用する
- 清潔なおしぼりを用意する方法も検討する
- 地面や遊具などへ触れた後は、そのまま食品へ触れない
- 子どもの手も食事前に確認する
特に運動会や公園などでは、地面、遊具、スポーツ用品などに触れる機会も多いため、食事前の手指衛生を忘れないようにしましょう。
「見た目やにおいが大丈夫」だけで判断しない
食品によっては、食中毒の原因となる細菌が増えていても、見た目やにおい、味に大きな変化が現れない場合があります。
一方、農林水産省は、お弁当の味やにおいに異常を感じた場合は食べるのをやめるよう案内しています。
- 長時間高温の場所へ置いたお弁当は慎重に判断する
- 保冷状態が十分でなかった場合は無理に食べない
- 味やにおいがおかしい場合は食べない
- 食べ残したお弁当を長時間持ち歩いて再び食べない
「せっかく作ったから」と無理に食べず、保存状態に不安がある場合は安全を優先しましょう。
学校・イベント運営側でも食事場所の衛生環境を確認する
運動会、遠足、地域イベントなどでは、参加者自身のお弁当管理に加えて、主催者側も食事をする場所や手洗い環境を確認しておくと安心です。
- 食事前に利用できる手洗い場を案内する
- ハンドソープを切らさない
- ごみを分別・回収できる場所を用意する
- 食事場所を清潔に保つ
- 直射日光を避けられる休憩場所を検討する
- 施設内で食品を提供する場合は温度管理を徹底する
施設で調理・販売した弁当や食品を提供する場合は、家庭のお弁当とは異なる衛生管理が必要です。営業許可や施設ごとの衛生管理計画など、関係する基準に従ってください。
食品を扱う施設では調理前の手指衛生環境も見直す

食品工場、厨房、給食施設などでは、食品へ触れる前の手洗い・手指衛生を適切に行える環境を整えることが重要です。
NEWスーパーMは、手洗い後の乾燥や、施設内での手指衛生に活用できる設備です。紫外線照射による除菌・消臭機能を備えており、食品を扱う現場の衛生環境を見直す際の選択肢となります。
また、ペーパータオルなどの手拭き用消耗品を使用しない運用にすることで、購入、保管、補充、ごみ回収、廃棄にかかる作業負担や人件費、ごみの削減にもつながります。
ただし、目に見える汚れがある場合や調理前、トイレ使用後など、必要な場面では石けんと流水による適切な手洗いを基本とします。NEWスーパーMだけで食中毒対策が完了するものではなく、食品の加熱、温度管理、調理器具の清掃などと組み合わせることが大切です。
秋のお弁当づくりで確認したいチェックポイント
- 調理前に石けんと流水で手を洗ったか
- 弁当箱や調理器具を清潔にしているか
- おにぎりはラップや使い捨て手袋を使って作っているか
- 肉や卵などを中心まで十分に加熱しているか
- 作り置きのおかずを十分に再加熱したか
- ごはんやおかずを冷ましてから詰めたか
- 汁気や水分をできるだけ減らしたか
- 保冷剤と保冷バッグを用意したか
- お弁当を直射日光や高温の場所へ置いていないか
- 食事前に手を清潔にしたか
- 保存状態に不安がある食品を無理に食べていないか
まとめ
秋は、運動会、遠足、ピクニックなど、お弁当を持って出かける機会が増える季節です。暑さが和らいできても、日中の気温や持ち運ぶ時間によっては、食品中の細菌が増えやすい環境になることがあります。
お弁当の食中毒予防では、調理前の手洗い、十分な加熱、冷ましてから詰めること、水分を減らすこと、保冷剤や保冷バッグを使った温度管理がポイントです。食べる前にも手を清潔にし、作ったお弁当はできるだけ早めに食べましょう。
「秋だから大丈夫」と油断せず、作るところから食べ終わるところまで衛生管理を意識し、安全で楽しい秋の行楽・運動会につなげてみてはいかがでしょうか。
出典・参考情報(官公庁・公的機関公表資料)
- 農林水産省「お弁当づくりによる食中毒を予防するために」
- 近畿農政局「お弁当作りの食中毒予防ポイント」
- 農林水産省「見直してみよう お弁当づくりでの食中毒予防」
- 厚生労働省「家庭での食中毒予防」
- 厚生労働省「腸管出血性大腸菌O157等による食中毒」
注記:本ページは、家庭や行楽時における食品衛生の一般的な参考情報として、公的機関等の公表資料をもとに作成しています。掲載内容は、個別の食品の安全性や保存可能時間を保証するものではありません。食品の保存状態や気温、調理方法などによって条件は異なります。保存状態に不安がある場合や、味・においなどに異常を感じた場合は無理に食べないようにしてください。食後に体調不良が生じた場合は、必要に応じて医療機関へご相談ください。

