2026年秋、毒キノコによる食中毒に注意――9~11月に集中する誤食と予防の基本
秋はキノコ狩りや山歩きなどを楽しむ機会が増える季節です。一方、野生のキノコを食用のキノコと間違えて食べ、食中毒になる事例が毎年発生しています。
厚生労働省は2026年8月28日、今年も「毒キノコによる食中毒の注意喚起」を公表しました。また、農林水産省も9月4日に毒キノコに関する情報を更新し、食用と確実に判断できない野生キノコについて「採らない・食べない・売らない・人にあげない」ことを呼びかけています。
今回は2026年の最新注意喚起と発生データを中心に、秋に改めて確認したい誤食防止の基本を整理します。
毒キノコによる食中毒は9~11月に集中する
農林水産省が厚生労働省のデータをもとにまとめた2016年から2025年までの10年間の患者数を見ると、毒キノコによる食中毒は秋に集中しています。
- 6月:6人
- 7月:3人
- 8月:18人
- 9月:100人
- 10月:316人
- 11月:103人
10年間の患者数は合計546人で、このうち9~11月だけで519人となっています。秋は野生キノコが身近になる時期である一方、毒キノコによる食中毒にも特に注意したい季節であることが分かります。

図:2016~2025年の毒キノコによる食中毒患者数の月別累計。9~11月に患者が集中し、特に10月は316人となっています。出典:農林水産省「秋の味覚にご注意を!きのこを安全に美味しく食べるために」
食用キノコとの見分けは簡単ではない

野生のキノコには、食用キノコと外見がよく似た毒キノコがあります。農林水産省は、毒キノコと食用キノコの見分けは容易ではなく、昔から伝わる俗説を信じないよう注意を呼びかけています。
「色が地味なら食べられる」「虫が食べているから安全」「ナスと一緒に調理すれば毒が消える」といった判断には根拠がありません。
- 見た目だけで食用と判断しない
- 過去に似たキノコを食べた経験だけで判断しない
- 地域の言い伝えや俗説を安全性の根拠にしない
- 種類が分からないキノコを持ち帰らない
- 確実に食用と判断できないものは食べない
少しでも判断に迷うキノコは、食べないことが最も確実な予防になります。
特に患者数が多いのはツキヨタケ
農林水産省の2016~2025年の集計では、種類が判明した毒キノコの中で、患者数が最も多かったのはツキヨタケの298人で、全体の約54%を占めています。次いでクサウラベニタケ73人、カキシメジ25人、テングタケ21人などとなっています。
ツキヨタケはヒラタケ、ムキタケ、シイタケなどと、クサウラベニタケはハタケシメジなどと間違えられることがあります。厚生労働省では、それぞれ食後比較的早い時間に嘔吐、下痢、腹痛などを起こす場合があるとしています。
ただし、この記事を見分け方として利用することは避けてください。発生場所や成長段階によって外見が変わることもあり、写真や特徴だけから安全性を判断することは危険です。
「採らない・食べない・売らない・人にあげない」を徹底する

厚生労働省と農林水産省が繰り返し呼びかけている基本は、食用と確実に判断できない野生キノコを「採らない・食べない・売らない・人にあげない」ことです。
- 分からない野生キノコは採らない
- 採ったとしても食用と判断できなければ食べない
- 出所や種類が不確かな野生キノコを販売しない
- 家族や知人へ安易に配らない
- 複数種類をまとめて調理しない
自分自身が食べないだけでなく、販売や譲渡によって別の人が誤食することを防ぐことも重要です。
直売所・販売事業者も野生キノコの取り扱いに注意する

毒キノコによる食中毒は、家庭で採取したキノコだけに限りません。野生キノコを販売・提供する場合も、種類を確実に確認できる管理体制が必要です。
- 採取者だけの自己判断で販売しない
- 食用と確認できないキノコを商品へ混ぜない
- 種類ごとに分けて管理する
- 仕入れ先や採取場所などを確認する
- 自治体からの注意喚起を確認する
食用かどうか確認できない野生キノコは、販売・提供しないことを徹底しましょう。
カエンタケなど「食べる以外」に注意が必要な種類もある
厚生労働省では、カエンタケについて、食べるだけでなく触れることでも炎症を起こす場合があるとして注意を呼びかけています。
公園や山道などで見慣れないキノコを見つけても、興味本位で触れたり、子どもに触らせたりしないようにしましょう。
- 見慣れない野生キノコには触れない
- 子どもやペットが触れないよう注意する
- 施設内や公園内で発見した場合は管理者へ連絡する
- 勝手に採取・処分せず、自治体や施設の案内に従う
食中毒対策だけでなく、接触による健康被害にも注意が必要です。
野生キノコを食べて異常を感じたら早めに医療機関へ

毒キノコによる症状は種類によって異なります。嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状だけでなく、発汗、めまい、錯乱、意識障害などが現れるものや、重篤な症状につながるものもあります。
- 吐き気・嘔吐
- 下痢・腹痛
- 発汗
- めまい
- 意識や行動の異常
- その他、食後に急に現れた体調変化
野生キノコを食べた後に体調へ異変を感じた場合は、食べるのを中止し、早めに医療機関へ相談してください。
受診時には、食べたキノコの残りや調理前のもの、写真などが残っている場合は、医療機関や保健所が原因を確認する際の参考になることがあります。緊急性の高い症状がある場合は、速やかに救急要請を行ってください。
2026年秋に確認したい毒キノコ食中毒予防チェックポイント
- 食用と確実に判断できない野生キノコを採っていないか
- 見た目や経験だけで種類を判断していないか
- 俗説を安全性の根拠にしていないか
- 種類の分からないキノコを家族や知人へ配っていないか
- 出所の不明な野生キノコを購入していないか
- 販売・提供する場合に種類を確実に確認しているか
- 見慣れないキノコへ不用意に触れていないか
- 食後に異常を感じた場合に早めに相談できるか
- 自治体や厚生労働省などの最新注意情報を確認しているか
まとめ
毒キノコによる食中毒は年間を通して同じように発生するのではなく、9~11月に集中しています。2016~2025年の患者546人のうち、約95%がこの3か月に発生しており、秋は特に注意したい時期です。
野生キノコには食用キノコとよく似た種類があり、外見や経験だけで安全性を判断することはできません。「採らない・食べない・売らない・人にあげない」を基本に、確実に判断できないものは口にしないことが最も重要です。
秋の味覚やキノコ狩りを楽しむ際は、昔からの言い伝えや自己判断に頼らず、国や自治体が発信する最新情報を確認し、安全を第一に楽しみましょう。
出典・参考情報(官公庁・公的機関公表資料)
注記:本ページは、毒キノコによる食中毒予防の一般的な情報提供を目的として、公的機関等の公表資料をもとに作成しています。本ページの写真や記載内容のみで野生キノコの種類や食用可否を判断しないでください。野生キノコを食べた後に体調不良が生じた場合は、速やかに医療機関や保健所へご相談ください。意識障害など緊急性の高い症状がある場合は、直ちに救急要請を行ってください。

