夏場は気温や湿度が高くなり、食品の管理により注意が必要になる季節です。食中毒は年間を通して発生しますが、夏場は細菌が増えやすい環境になりやすく、食品を扱う施設や店舗では、手洗い、温度管理、二次汚染防止などの基本を改めて確認することが大切です。
また、近年の食中毒発生状況を見ると、事件数や患者数は年によって変動しており、特定の季節だけでなく年間を通じた衛生管理が求められることが分かります。夏場だけに限らず、原因や季節ごとの傾向を把握したうえで、現場に合った対策を継続することが重要です。
今回は、食中毒の発生状況データをもとに、夏場に注意したい原因菌や、食品を扱う現場で見直したい衛生管理の基本についてご紹介します。
食中毒は年間を通して発生している
食中毒というと、気温が高い夏場に多いというイメージがあります。しかし実際には、食中毒は年間を通して発生しています。夏場は細菌性食中毒に注意が必要であり、冬場はノロウイルスなどのウイルス性食中毒が増えやすいなど、季節によって注意したい原因が変わります。
以下のグラフは、2016年から2025年までの食中毒事件数を月別にまとめたものです。年によって月別の増減にはばらつきがありますが、特定の月だけでなく、年間を通して食中毒が発生していることが分かります。

図1:食中毒事件数の月別推移(2016年〜2025年)/出典:厚生労働省「食中毒統計資料」各年データをもとに作成
このように、食中毒は夏だけの問題ではありません。そのうえで、夏場は気温や湿度が高く、食品中で細菌が増えやすい環境になりやすいため、細菌性食中毒への注意が必要になります。
- 食中毒は年間を通して発生する
- 夏場は細菌性食中毒に注意が必要
- 冬場はノロウイルスなどのウイルス性食中毒にも注意が必要
- 年によって月別の発生状況にはばらつきがある
- 発生状況データをもとに現場の管理を見直すことが大切
食品を扱う施設では「夏だけ注意すればよい」と考えるのではなく、年間を通して衛生管理を続けながら、季節ごとのリスクに合わせて重点的に確認することが必要です。
食中毒の原因は細菌だけではない
食中毒の原因は、細菌だけではありません。ウイルス、寄生虫、自然毒、化学物質など、さまざまな病因物質によって発生します。
以下のグラフは、2021年から2025年までの食中毒事件数を、病因物質別にまとめたものです。年によって内訳は変わりますが、細菌、ウイルス、寄生虫など複数の原因があることが分かります。

図2:食中毒の病因物質別事件数(2021年〜2025年)/出典:厚生労働省「食中毒統計資料」各年データをもとに作成
食中毒対策では、原因に応じた対策を考えることが重要です。細菌性食中毒では温度管理や加熱、二次汚染防止が重要になります。ウイルス性食中毒では、手洗い、体調管理、施設内での衛生管理が重要になります。
寄生虫による食中毒では、魚介類などの取扱いや提供方法に注意が必要です。自然毒では、有毒植物や毒きのこ、ふぐなど、食材そのものの選別や取扱いが重要になります。
- 細菌:温度管理、加熱、二次汚染防止が重要
- ウイルス:手洗い、体調管理、施設内の衛生管理が重要
- 寄生虫:魚介類などの取扱いに注意
- 自然毒:有毒植物、毒きのこ、ふぐなどの誤食に注意
- 化学物質:洗剤や薬剤などの混入防止に注意
食中毒の原因は一つではないため、食品を扱う現場では、自社で扱う食材や作業工程に合わせて、どのリスクが発生しやすいかを整理しておくことが大切です。
夏場に注意したい主な細菌性食中毒
夏場に特に注意したいのは、食品中で増えやすい細菌による食中毒です。代表的なものとして、カンピロバクター、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌、黄色ブドウ球菌、ウエルシュ菌、腸炎ビブリオなどがあります。
以下のグラフは、2025年の主な細菌性食中毒の原因菌別事件数をまとめたものです。カンピロバクター・ジェジュニ/コリによる事件数が特に多くなっていることが分かります。

図3:2025年の主な細菌性食中毒の原因菌別事件数/出典:厚生労働省「令和7年 病因物質別月別食中毒発生状況」をもとに作成
カンピロバクターは、加熱不足の鶏肉などで問題になることがあります。サルモネラ属菌は卵や肉類など、腸管出血性大腸菌は肉類や二次汚染に注意が必要です。黄色ブドウ球菌は、調理者の手指などを介して食品に付着することがあり、手洗いや手指の衛生管理が重要になります。
また、ウエルシュ菌は大量調理した食品の温度管理が不十分な場合に問題になることがあり、腸炎ビブリオは魚介類の取扱いで注意したい菌です。食品を扱う現場では、取り扱う食品や調理工程に応じて、どの菌に注意すべきかを整理しておくことが大切です。
- カンピロバクター:鶏肉などの加熱不足に注意
- サルモネラ属菌:卵や肉類などの取扱いに注意
- 腸管出血性大腸菌:肉類や二次汚染に注意
- 黄色ブドウ球菌:手指から食品への汚染に注意
- ウエルシュ菌:大量調理後の温度管理に注意
- 腸炎ビブリオ:魚介類の取扱いに注意
原因菌ごとに特徴は異なりますが、現場対策の基本は「つけない」「増やさない」「やっつける」に整理できます。
食中毒予防の基本は「つけない・増やさない・やっつける」

食中毒予防の基本としてよく知られているのが、「つけない」「増やさない」「やっつける」という3原則です。これは、食品に原因菌をつけない、食品中で増やさない、加熱などでやっつけるという考え方です。
「つけない」ためには、調理前や作業切り替え時の手洗い、器具の使い分け、まな板や包丁の洗浄、手袋交換などが重要です。特に食品工場や飲食店では、作業内容が変わるタイミングで手指や器具を清潔に保つことが求められます。
「増やさない」ためには、冷蔵・冷凍の温度管理、調理後の放置時間を短くすること、食材を適切に保管することが必要です。夏場は室温が高くなりやすいため、常温放置や温度管理の乱れに注意しましょう。
「やっつける」ためには、中心部まで十分に加熱することが基本です。特に肉類や加熱が必要な食品では、見た目だけで判断せず、加熱不足を防ぐことが大切です。
- 調理前・作業切り替え時に手を洗う
- 生肉・魚介類と加熱済み食品の器具を分ける
- 冷蔵・冷凍の温度を確認する
- 調理後の食品を長時間常温に置かない
- 中心部まで十分に加熱する
3原則を現場の作業手順に落とし込むことで、日常的な食中毒予防につながります。
食品を扱う現場で見直したい温度管理と二次汚染防止

夏場の食中毒予防では、温度管理と二次汚染防止が特に重要です。冷蔵庫や冷凍庫の温度が適切に保たれているか、食材を長時間常温に置いていないか、調理後の食品を速やかに提供・保管できているかを確認しましょう。
また、生肉や魚介類に触れた手や器具から、加熱済み食品や生で食べる食品へ菌が移ることがあります。まな板、包丁、トング、手袋、作業台などは、用途ごとに分ける、使用後に洗浄する、作業の切り替え時に手洗いするなど、基本的な管理を徹底することが必要です。
現場では、担当者によって判断が変わらないように、作業手順を分かりやすくしておくことも重要です。新人スタッフや短時間勤務のスタッフでも同じ運用ができるよう、チェックリストや掲示物を活用しましょう。
- 冷蔵庫・冷凍庫の温度を記録する
- 調理後の食品を長時間常温に置かない
- 生肉・魚介類用の器具を分ける
- 作業切り替え時に手洗いを行う
- 手袋の交換タイミングを明確にする
- 作業台や器具を定期的に洗浄する
夏場の現場対策では、食品そのものの管理と、作業者・器具・手洗い環境の管理をセットで確認することが大切です。
手洗いと乾燥環境も食中毒予防の基本

食中毒予防では、食品や器具の管理だけでなく、作業者の手洗いと手指衛生も欠かせません。調理前、トイレ後、休憩後、作業内容が変わるとき、手袋を交換するときなど、手洗いのタイミングを明確にしておきましょう。
手洗い後は、しっかり乾燥させることも重要です。濡れた手のまま作業着、手袋、器具、食品容器などに触れると、水分とともに汚れが広がりやすくなる場合があります。
ペーパータオルを使用している施設では、補充切れ、ゴミ箱のあふれ、床濡れ、保管スペース、廃棄物処理の負担にも注意が必要です。手洗い回数が多い食品工場や飲食店では、手洗い後の乾燥方法そのものを見直すことも、衛生管理とコスト管理の両面で有効です。
- 手洗いのタイミングを明確にする
- ハンドソープや石けんを切らさない
- 手洗い後に十分乾燥できる環境を整える
- ペーパータオルの補充・廃棄負担を確認する
- 利用人数に合った乾燥方法を検討する
弊社のNEWスーパーMは、手洗い後の乾燥に活用できるエアータオルです。ペーパータオルの代替として運用することで、消耗品の使用量削減、補充・回収・廃棄作業の負担軽減、手洗い場の衛生環境改善につながります。
夏場の食中毒対策で確認したいチェックポイント

夏場の食中毒対策を継続するためには、日常点検として確認できる項目を整理しておくことが大切です。特に食品を扱う施設では、温度管理、手洗い、器具の使い分け、衛生資材の補充状況を定期的に確認しましょう。
- 冷蔵庫・冷凍庫の温度を記録しているか
- 食材を長時間常温に置いていないか
- 生肉・魚介類と加熱済み食品の器具を分けているか
- 作業切り替え時の手洗いが徹底されているか
- 手袋の交換ルールが共有されているか
- ハンドソープやペーパータオルの補充状況を確認しているか
- 手洗い後の乾燥環境が整っているか
- 体調不良者が出た場合の対応ルールがあるか
食中毒対策は、特別な時だけ行うものではなく、毎日の作業の中で継続することが重要です。データで発生傾向を確認しながら、自社や施設の現場に合った対策を見直していきましょう。
まとめ
食中毒は年間を通して発生しますが、夏場は細菌性食中毒に注意が必要です。発生状況データを見ることで、どのような原因が多いのか、どの時期に注意が必要なのかを把握しやすくなります。
食品を扱う施設や店舗では、カンピロバクター、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌、黄色ブドウ球菌、ウエルシュ菌など、原因菌の特徴を踏まえた管理が必要です。基本となるのは、食中毒菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」ことです。
あわせて、作業者の手洗い、手洗い後の乾燥環境、衛生資材の補充、ペーパータオル管理も見直しておきましょう。NEWスーパーMのようなエアータオルを活用することで、手洗い後の乾燥環境を整えながら、ペーパータオルなどの消耗品削減や補充・廃棄作業の負担軽減にもつなげることができます。夏場の食中毒対策として、自社や施設の衛生管理体制を改めて確認してみてはいかがでしょうか。
出典・参考情報(官公庁・自治体公表資料)
注記:本ページの内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断や治療に代わるものではありません。検査や薬の使用、保険適用の可否などについては、必ず医師や専門機関にご相談ください。体調不良や緊急の症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

