11月は「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」――感染症を防ぐ日常の衛生管理が、抗菌薬を守ることにつながる

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毎年11月は、厚生労働省が定める「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」です。

「薬剤耐性」という言葉を聞くと、病院や薬の使い方だけに関係する問題と思われるかもしれません。しかし、AMR対策には抗菌薬を適切に使用することだけでなく、そもそも感染症にかからない、周囲へ広げないための日常的な感染対策も重要です。

手洗いをはじめとする基本的な衛生管理によって感染症の発生や広がりを減らすことは、抗菌薬が必要となる機会を減らし、将来も必要なときに抗菌薬を使える環境を守ることにつながります。

今回は、薬剤耐性(AMR)とは何か、なぜ感染症予防がAMR対策につながるのか、そして施設や事業所で日常的に確認しておきたい衛生管理について紹介します。

薬剤耐性(AMR)とは?

AMRは「Antimicrobial Resistance」の略で、日本語では「薬剤耐性」と呼ばれます。

細菌などの微生物に対して本来効果のある抗微生物薬が効きにくくなったり、効かなくなったりすることを指します。

細菌による感染症の治療では抗菌薬が重要な役割を果たしています。しかし、抗菌薬を使用すると、薬が効く細菌が減る一方で、薬が効きにくい細菌が生き残ることがあります。

こうした薬剤耐性菌が増えたり、人から人へ広がったりすると、これまで治療できていた感染症の治療が難しくなる可能性があります。

そのためAMR対策では、「必要なときに、適切な抗菌薬を適切に使うこと」と、「感染症そのものを予防すること」の両方が重要になります。

抗菌薬はすべての感染症に効くわけではない

抗菌薬は、細菌による感染症を治療するための薬です。

一方、一般的な風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症など、ウイルスが原因となる感染症には抗菌薬は効きません。

細菌とウイルスはまったく異なる病原体であり、抗菌薬は細菌の仕組みに作用する薬だからです。

必要のない場面で抗菌薬を使用すると、薬剤耐性菌が選択される機会を増やすことにもつながります。

抗菌薬が処方された場合は、自己判断で量を変えたり、途中で服用をやめたりせず、医師や薬剤師の指示に従って使用することが大切です。また、以前処方されて余った抗菌薬を後から自己判断で使用したり、ほかの人へ渡したりしないようにしましょう。

なぜ「感染症を防ぐこと」がAMR対策になる?

感染症予防が薬剤耐性AMR対策につながる流れを示したイラスト

薬剤耐性への対策というと、抗菌薬の使い方だけに注目しがちですが、感染症そのものを減らすことも重要な対策の一つです。

感染症になる人が減れば、治療のために抗菌薬を使用する機会も減ります。

また、日常的な感染対策を行うことは、一般的な病原体だけでなく、薬剤耐性を持つ細菌が人から人へ広がることを防ぐうえでも重要です。

国立健康危機管理研究機構(JIHS)では、感染症を予防することが抗微生物薬を必要とする病態を減らし、抗微生物薬の使用を減らすことにつながるとしています。また、手洗いなどの基本的な感染対策を日常的に行うことも重要です。

このように、感染症を予防して広がりを抑えることは、抗菌薬を使用する機会を減らし、薬剤耐性菌が広がる機会を減らすことにもつながります。

日常生活でできる基本的な感染対策

石けんと流水による手洗いで感染対策を行う様子

特別な設備や難しい対策だけがAMR対策ではありません。

日常生活で感染症を予防するために行っている基本的な行動も、その先ではAMR対策につながっています。

代表的なものが手洗いです。

私たちは、日常生活の中でさまざまな物に触れています。病原体が付着した手で目、鼻、口などに触れると、体内へ病原体が入り込むきっかけになることがあります。

また、病原体が付着した手でドアノブや手すりなどに触れれば、ほかの人へ広げる可能性もあります。

石けんと流水による適切な手洗いを日常的に行うことは、自分自身への感染を防ぐだけでなく、周囲へ感染を広げないための基本的な対策です。

施設では「続けられる衛生環境」を整える

日常的な感染対策を続けやすい施設の衛生環境

多くの人が利用する施設や事業所では、利用者や従業員一人ひとりの行動だけでなく、感染対策を無理なく続けられる環境を整えておくことも大切です。

例えば、次のような点を改めて確認してみましょう。

  • 必要な場所で手洗いができる環境になっているか
  • 石けんやハンドソープが不足していないか
  • 蛇口や自動水栓などが正常に使用できるか
  • 手洗い場を清潔な状態に保てているか
  • 手洗い後に十分に手指を乾燥できるか
  • 従業員が体調不良を早めに申告できる環境になっているか
  • 日常的に触れる場所や共用設備を適切に管理できているか
  • 感染症発生時の連絡・対応方法が共有されているか

感染症が流行してから一時的に対策を強化するだけではなく、平常時から継続できる衛生管理の仕組みを整えておくことが重要です。

手洗い後の「乾燥」まで含めて手指衛生を考える

手指衛生では、石けんと流水で手を洗うことに加え、洗った後に十分に手指を乾燥させることも大切です。

特に多くの人が利用する施設では、手洗い設備があっても、手洗い後に手指を乾燥させにくい状態では、日常的な手指衛生を続けにくくなる場合があります。

施設の利用人数や用途、清掃・点検方法、消耗品の補充なども含め、手洗いから乾燥まで無理なく行える環境になっているか確認しましょう。

NEWスーパーMと日常の衛生環境づくり

施設の手洗いスペースに設置されたNEWスーパーM

NEWスーパーMは、手洗い後の乾燥に利用できるエアータオルです。

安全紫外線照射と131℃熱風を採用し、紫外線による除菌・消臭機能を備えています。また、ドレンタンクの清掃やフィルター交換を必要としないため、施設における衛生設備の日常管理を見直す際の選択肢として活用できます。

ただし、NEWスーパーMを使用すること自体が薬剤耐性を直接防ぐわけではありません。

AMR対策では、手洗いをはじめとした感染予防、適切な衛生管理、必要な場合の抗菌薬の適正使用など、複数の取り組みを継続することが重要です。

NEWスーパーMも、日常的な手洗いと乾燥を行いやすい衛生環境を整える設備の一つとして、施設全体の感染対策の中で活用することが大切です。

私たちがAMR対策のためにできること

薬剤耐性という大きな問題も、日常生活の中でできることがあります。

  • 手洗いなど基本的な感染対策を続ける
  • 体調不良時は無理をせず、感染を周囲へ広げないようにする
  • 必要な予防接種について確認する
  • 抗菌薬が必要かどうかは医師の判断に従う
  • 処方された抗菌薬は医師・薬剤師の指示どおり使用する
  • 余った抗菌薬を自己判断で使用しない
  • 抗菌薬をほかの人へ渡さない
  • 施設では日常的に感染対策を続けられる衛生環境を整える

一人ひとりが感染症を予防し、抗菌薬を必要なときだけ適切に使用することが、将来も抗菌薬を有効に使える環境を守ることにつながります。

まとめ

11月は「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」です。

AMR対策では、抗菌薬を適切に使用することだけでなく、感染症そのものを予防することも重要です。

感染症を減らすことができれば、抗菌薬を使用する機会を減らすことにつながり、さらに薬剤耐性菌が周囲へ広がる機会を減らすことにもつながります。

手洗いをはじめとする基本的な感染対策は、日常生活や施設で無理なく続けられる身近な取り組みです。

「感染症にかからない・広げない」「抗菌薬は必要なときに正しく使う」という両方の視点を持ち、未来にも有効な抗菌薬を残すために、日常の衛生管理を改めて見直してみましょう。

出典・参考情報(官公庁・公的機関公表資料)

注記:本ページは、薬剤耐性(AMR)および感染予防に関する一般的な情報提供を目的として、公的機関等の公表資料をもとに作成しています。掲載内容は個別の症状の診断や治療、抗菌薬の処方・服用についての判断に代わるものではありません。抗菌薬の使用については、医師・薬剤師等の指示に従ってください。施設・事業所における感染対策については、関係法令、自治体の案内、各施設の衛生管理基準等もあわせてご確認ください。

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