2026年11月6日、厚生労働省から第44週(10月26日~11月1日)のインフルエンザ発生状況が公表されました。全国の定点医療機関から報告された患者数は38,205人、定点当たり報告数は10.26となり、前週の9.49から再び増加しました。
10月中旬に一度低下した全国の報告数ですが、11月に入り再び上昇へ転じています。
地域別に見ると、愛媛県27.89、北海道21.90、岩手県17.17、青森県16.63、秋田県15.72など、全国平均を大きく上回る地域も確認されています。一方で、東京都のように前週から減少している地域もあり、全国一律に増えているわけではありません。現在のインフルエンザ流行状況は、地域による差が大きいことも特徴です。
今回は、2026年11月6日に公表された最新速報をもとに、全国のインフルエンザ流行状況と、学校、オフィス、介護施設、宿泊施設などで冬本番前に改めて確認しておきたい感染対策を紹介します。
2026年第44週のインフルエンザは全国10.26へ再上昇

厚生労働省が公表した2026年第44週のインフルエンザ発生状況では、全国の定点当たり報告数は10.26でした。前週の第43週は9.49だったため、1週間で再び増加しています。
直近の全国定点当たり報告数は、次のように推移しています。
- 第40週:11.35
- 第41週:12.81
- 第42週:9.08
- 第43週:9.49
- 第44週:10.26
第41週に12.81まで上昇した後、第42週には9.08まで低下しましたが、その後は第43週9.49、第44週10.26と2週連続で増加しています。
一度減少したからといって流行が終息したわけではなく、11月に入り再び増加傾向がみられる状況です。
全国38,205人を報告――前週から増加
第44週に全国の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者数は38,205人でした。厚生労働省では、全国約3,000か所の急性呼吸器感染症定点医療機関から、インフルエンザを含む感染症の発生状況を収集し、毎週公表しています。
定点当たり報告数は、一つの定点医療機関から平均して何人の患者が報告されたかを示す指標です。全国の数字だけを見るのではなく、都道府県ごとの状況や、前週からの変化もあわせて見ることが重要です。
地域差が大きい――愛媛27.89、北海道21.90

第44週の都道府県別定点当たり報告数を見ると、地域によって大きな差があります。特に高い地域は次のとおりです。
- 愛媛県:27.89
- 北海道:21.90
- 岩手県:17.17
- 青森県:16.63
- 秋田県:15.72
北日本を中心に高い地域がみられる一方、愛媛県のように西日本でも高い水準となっている地域があります。インフルエンザの流行は全国一律に進むわけではなく、地域によって増加する時期や規模が異なります。
施設や事業所では、全国平均だけでなく、所在地の都道府県や自治体が公表している感染症情報もあわせて確認することが大切です。
東京都は減少、神奈川・愛知は増加
首都圏や東海地方でも、前週からの動きは地域によって異なります。東京都の定点当たり報告数は、第43週の8.35から第44週は6.91へ低下しました。
一方、神奈川県では9.71から10.92、愛知県では8.66から10.63へ増加しています。
隣接する地域でも流行状況が異なるため、「全国で増えている」「全国で減っている」と一括りに判断するのではなく、地域ごとの最新情報を確認することが重要です。
「10を超えた=全国で注意報」とは限らない
インフルエンザの流行状況を見る際に注意したいのが、定点当たり報告数の読み方です。
2025年4月からインフルエンザの報告に使用する定点医療機関の数が変更され、保健所ごとのデータの連続性が担保されなくなったことから、国立健康危機管理研究機構では従来のインフルエンザ流行レベルマップや警報・注意報システムの情報提供を当面停止しています。
そのため、現在の全国定点当たり報告数が10を超えたことだけをもって、「全国が注意報レベルになった」と判断することは適切ではありません。
現在は、毎週公表される定点報告数の推移や地域別の発生状況などを総合的に見ることが重要です。
11月は流行拡大に注意したい時期
インフルエンザは例年、冬季に流行が拡大する感染症です。2026年は例年より早い時期から患者報告が増加しており、9月からすでに流行がみられています。
現在は11月上旬ですが、気温の低下や室内で過ごす時間の増加により、今後さらに感染が広がる可能性があります。学校、保育施設、介護施設、オフィスなど、多くの人が同じ空間で過ごす場所では、冬本番を迎えてから対策を始めるのではなく、今のうちから基本的な感染対策を確認しておきましょう。
施設で改めて確認したい「手洗い」

インフルエンザを含む急性呼吸器感染症の予防では、日常的な手洗いが基本となります。外出後、食事前、共用物に触れた後などは、石けんと流水による手洗いを行いましょう。
施設では、利用者へ手洗いを呼びかけるだけでなく、手洗い設備そのものを使いやすい状態に保つことも重要です。
- 石けんやハンドソープが補充されているか
- 水栓が正常に使用できるか
- 洗面台や周辺が清潔に保たれているか
- 手洗い後に手指を十分に乾燥できる環境になっているか
毎日の設備確認も、継続した感染対策の一つです。
換気と適度な湿度も意識する
冬は暖房を使用するため、窓を閉め切った状態になりやすくなります。厚生労働省の令和8年度冬季急性呼吸器感染症(ARI)総合対策では、換気や適度な湿度の保持も基本的な感染対策として示されています。
常時換気設備や換気扇がある場合には適切に運転し、必要な換気量を確保しましょう。また、空気が乾燥すると気道粘膜の防御機能が低下するため、乾燥しやすい室内では相対湿度50~60%を目安にすることも示されています。
ただし、加湿器を使用する場合は水交換や清掃など、加湿器そのものの衛生管理も必要です。
体調不良時に「無理をしない」仕組みも重要

感染拡大を防ぐためには、個人の対策だけでなく、体調不良時に休みやすい環境を整えることも重要です。発熱、咳、のどの痛み、強い倦怠感などがある場合は、無理に出勤・登校・利用を続けないことが感染拡大防止につながります。
施設や事業所では、次のような点をあらかじめ確認しておきましょう。
- 体調不良を申告しやすいか
- 症状がある場合の対応ルールが決まっているか
- 利用者や職員へ咳エチケットを案内できているか
- 集団発生が疑われる場合の連絡体制が整っているか
感染者が増えてから対応を考えるのではなく、平常時からルールを共有しておくことが大切です。
学校や家庭でも感染拡大に注意

インフルエンザは学校や家庭など、近い距離で長時間過ごす場所でも広がりやすい感染症です。長野県では第44週の患者報告が前週7.84から9.96へ増加し、直近の患者報告は19歳以下が中心で、第44週では特に10~14歳の報告数が増加しています。
学校や家庭では、手洗い、換気、咳エチケットに加え、十分な休養をとることも心掛けましょう。症状がある場合は、周囲へ感染を広げないよう無理な登校や外出を控えることも重要です。
冬本番前に施設で確認しておきたいポイント
- 地域のインフルエンザ最新情報を定期的に確認しているか
- 石けんと流水による手洗いができる環境になっているか
- 手洗い後に十分に手指を乾燥できるか
- 室内の換気設備が正常に動いているか
- 必要に応じて室内の湿度を確認しているか
- 共用部分の衛生管理方法を決めているか
- 職員や利用者へ咳エチケットを周知しているか
- 体調不良時の対応ルールを共有しているか
- 集団発生時の連絡体制を確認しているか
施設ごとに利用者層や環境は異なるため、日常的な感染対策を継続できる仕組みを整えておくことが重要です。
まとめ
2026年11月6日に公表された第44週のインフルエンザ最新情報では、全国の定点当たり報告数は10.26となり、前週の9.49から再び増加しました。全国の報告患者数は38,205人で、愛媛県27.89、北海道21.90など、全国平均を大きく上回る地域もみられます。
一方、東京都では前週から低下するなど、流行状況には大きな地域差があります。インフルエンザはこれから冬本番に向けてさらに流行が拡大する可能性があるため、全国の数値だけでなく、各地域の最新情報も継続して確認することが大切です。
学校、オフィス、介護施設、宿泊施設などでは、手洗い、換気、適度な湿度、咳エチケット、体調管理などの基本的な感染対策を改めて確認しておきましょう。
出典・参考情報(官公庁・公的機関公表資料)
- 厚生労働省「インフルエンザに関する報道発表資料 2026/2027シーズン」
- 厚生労働省「インフルエンザ(総合ページ)」
- 厚生労働省「令和8年度 今冬の急性呼吸器感染症(ARI)総合対策」
- 国立健康危機管理研究機構「インフルエンザ」
- 東京都感染症情報センター「インフルエンザの流行状況(2026-2027年シーズン)」
- 長野県「感染症情報(2026年第44週)」
注記:本ページに掲載している患者数・定点当たり報告数等は、厚生労働省および各自治体等が公表している速報値をもとにしています。速報値は後日変更される場合があります。また、2025年4月以降はインフルエンザの定点医療機関が変更されているため、過去の数値との単純比較には注意が必要です。本ページはインフルエンザおよび施設における感染対策に関する一般的な情報提供を目的としています。

