伝染性紅斑は、いわゆる「りんご病」とも呼ばれる感染症で、春から初夏にかけて増えやすいことが知られています。最近の発生動向でも報告数の増加がみられており、これからの時期は、保育施設、学校、キッズスペースを持つ商業施設などでも、基本的な感染対策を改めて確認しておきたいところです。
伝染性紅斑というと、子どもの頬が赤くなる感染症というイメージが強いかもしれませんが、現場で見直したいのは症状だけではありません。手洗い、共有物の扱い、かぜ症状がある人への配慮、利用者や職員への案内など、日常の衛生管理や運用と重なる点が多くあります。
また、保育施設や学校だけでなく、家族連れの利用が多い商業施設や共有スペースでも、感染対策の基本は共通しています。特別な対策を増やす前に、まずは「今の運用が感染を広げにくい形になっているか」を見直すことが大切です。
最近の発生動向から見えてくること

最近の感染症週報では、伝染性紅斑の定点当たり報告数が2週連続で増加しています。伝染性紅斑は年によって流行の大きさに差がありますが、厚生労働省は、年始から7月上旬ごろにかけて増加しやすい季節性があると案内しています。
また、患者の年齢分布では、5〜9歳での発生が最も多く、次いで0〜4歳が多いとされています。つまり、保育施設や学校で注意したいのはもちろん、幼児や小学生の出入りがある商業施設や共有スペースでも、基本的な感染対策を意識する意味があります。
伝染性紅斑は、頬の赤い発しんが目立つころには感染力がほぼなくなっている一方で、発しんが出る前のかぜ様症状の時期にウイルスの排出が最も多いとされています。そのため、「見た目で分かる段階で防ぐ」のではなく、日頃から手洗いや咳エチケット、体調不良時の配慮を徹底しておくことが重要になります。
伝染性紅斑で見直したい基本は「手洗い」と「かぜ症状の段階での配慮」

伝染性紅斑には、予防のためのワクチンや特別な薬はありません。厚生労働省は、かぜ症状のある人はこまめな手洗いや咳エチケットを心がけることが大切と案内しています。
特に、保育施設や学校では、登園・登校後、食事前、トイレの後など、基本の手洗いが確実に行われているかを改めて確認したいところです。手洗いは、石けんと流水でしっかり行うことが基本であり、手洗い設備が使いやすい位置にあるか、石けんやペーパータオルが不足していないかも運用上の大事な点です。
また、伝染性紅斑は発しんが出る前の時期に感染力が高いため、「頬が赤くなってから」では遅い場合があります。現場では、発熱やかぜ様症状がある場合に無理をしないこと、体調不良時の連絡や利用配慮のルールが共有されていることも大切です。
妊娠中の方への配慮も見逃せません。厚生労働省は、妊娠中に感染したことのない女性が感染した場合、胎児にも感染し、胎児水腫や流産のリスクとなる可能性があると案内しています。そのため、妊婦や妊娠の可能性がある方が働く現場では、流行時に基本的な感染対策の周知を丁寧に行うことが重要です。
共有物の管理と接触場面の見直しも重要

伝染性紅斑の感染経路としては、飛沫感染と接触感染が知られています。そのため、手洗いだけでなく、共有物や接触場面の管理も大切です。ドアノブ、手すり、机、いす、玩具、タッチパネル、呼び出しベルなど、複数の人が触れるものは、日頃から清潔に保ちたいところです。
特に、子どもがよく触れる物や、顔や口元に手を持っていきやすい環境では、共有物の管理が感染対策の基本になります。保育施設や学校では玩具や学用品、商業施設ではキッズスペースの備品や休憩スペースの共有物など、現場ごとに「どこに接触が集中するか」を見直すと、清掃や点検の優先順位をつけやすくなります。
また、感染症対策は、見た目がきれいであれば十分というものではありません。どこをいつ拭くのか、汚れが目立ったときに誰が対応するのか、接触頻度の高い場所をどのように点検するのかを決めておくことが、現場では重要になります。
保育施設・学校・商業施設で確認したい日常の運用

現場で実践しやすい対策としては、手洗いのタイミングを明確にすること、咳エチケットの案内を行うこと、共有物の清掃ルールを決めること、体調不良時の利用や勤務の考え方を共有することなどが挙げられます。
例えば、保育施設では登園後・食事前・排泄後の手洗い、学校では休み時間後や給食前の手洗い、商業施設ではキッズスペース点検時や共有備品の確認時など、現場ごとのタイミングに落とし込むと運用しやすくなります。
また、利用者への案内も有効です。体調不良時の利用配慮、共有スペース利用時の基本、手洗いの呼びかけなど、強すぎない表現でも、感染対策を意識してもらうきっかけは作れます。事業者側だけでなく、利用者側にも基本を共有することで、現場で守りやすい環境に近づきます。
まとめ
伝染性紅斑は、これからの時期に注意したい感染症のひとつです。保育施設、学校、商業施設など、子どもや家族連れの利用が多い現場では、手洗い、咳エチケット、共有物の管理、体調不良時の配慮といった基本を改めて確認しておきたいところです。
伝染性紅斑対策というと特別な対応を考えがちですが、実際には、日常の衛生管理を着実に続けることが大きな予防につながります。流行が大きくなる前に、手洗い場、共有スペース、共有物の運用が感染を広げにくい形になっているかを見直してみてはいかがでしょうか。
事業者にとって重要なのは、対策を一時的に強めることよりも、日常業務の中で無理なく続けられる形にすることです。今のうちに基本を整えておくことが、利用者にとっても、現場で働く人にとっても安心につながります。
出典・参考情報(官公庁・自治体公表資料)
注記:本ページの内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断や治療に代わるものではありません。検査や薬の使用、保険適用の可否などについては、必ず医師や専門機関にご相談ください。体調不良や緊急の症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

