2026年春、麻しん増加で見直したい感染対策――施設・店舗でできる備えとは

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2026年春、麻しん(はしか)の報告数増加を受けて、厚生労働省は注意喚起を行っています。海外での流行に伴う輸入事例の増加に加え、不特定多数が集まる施設やイベントなどをきっかけとした国内での感染拡大も懸念されており、今の時期は施設や店舗でも改めて感染対策を見直したいタイミングです。

麻しんは、子どもだけの病気という印象を持たれることもありますが、実際には大人の感染もあり、人の出入りが多い現場では無関係とはいえません。特に春は、進学、就職、異動、旅行、イベントなどで人の移動が増える時期でもあるため、従業員向けの周知や初動対応の整理が重要になります。

麻しんが今、改めて注意されている理由

厚生労働省は2026年2月、麻しん発生報告数の増加に伴う注意喚起を行い、海外流行地域からの輸入事例の増加や、不特定多数が集まる施設等を契機とした感染伝播への警戒を呼びかけました。

また、JIHSの速報グラフでは、2026年第1〜13週の麻しん累積報告数は197例となっており、第11週は32例、第12週は28例、第13週は30例と、3月中旬以降も高い水準で推移しています。こうした状況からも、春の施設運営や来訪者対応のなかで、麻しんを想定した備えをしておくことが大切です。

麻しんは“感染力の強さ”が大きな特徴

体調不良時に症状を確認する人物

麻しんは、空気感染、飛まつ感染、接触感染で広がり、感染力が非常に強いとされています。厚生労働省によると、感染すると約10日後に発熱、咳、鼻水、目の充血など風邪のような症状が現れ、2〜3日熱が続いた後に39度以上の高熱と発しんが出現します。

さらに、周囲へ感染させる可能性がある期間は、発症日の1日前から解熱後3日間を経過するまでとされており、症状がはっきり出る前の段階から感染力がある点にも注意が必要です。施設や店舗では、「具合が悪そうだったら休む」という感覚だけでは不十分で、早めの申し出や相談ができる体制づくりが重要になります。

施設・店舗で見直したいのは“体調不良時の初動”

体調確認と対応手順を確認するスタッフ

麻しんへの対応では、症状の理解と初動の早さが大切です。厚生労働省のQ&Aでは、発熱や発しんなど麻しんのような症状がある場合は、医療機関へ事前に電話等で連絡し、受診の要否や注意点を確認してから指示に従うよう案内しています。また、受診時はマスクを着用し、公共交通機関の利用を可能な限り避けることも勧めています。

この公的案内を施設・店舗の運用に置き換えると、従業員に対しては「発熱・発しん・咳・鼻水・目の充血などがある場合は、無理に出勤せず早めに相談する」「受診が必要な場合は、事前連絡をしてから行動する」といったルールを共有しておくことが重要です。来訪者対応のある現場では、受付や責任者が迷わず案内できるよう、基本的な対応フローをあらかじめ整理しておくと安心です。

接種歴の確認も大切なポイント

予防接種歴の記録を確認する手元

厚生労働省は、麻しんの予防接種が感染予防法として最も有効な手段であるとしています。また、海外渡航者向けの注意喚起では、母子健康手帳などを確認して予防接種歴や罹患歴を確認すること、記録がない場合は予防接種や抗体検査を検討することが案内されています。

施設・店舗の現場でも、特に人と接する機会が多い従業員や、出張・旅行の予定がある方は、自身の接種歴を把握しておくことが大切です。個人情報の取り扱いには配慮が必要ですが、少なくとも「自分の接種歴を確認しておく」「不明な場合は医療機関へ相談する」といった周知は、春のこの時期に行っておく価値があります。

春のイベント・旅行シーズンは特に注意

厚生労働省は、麻しん流行地域への渡航前に流行状況を確認すること、予防接種歴や罹患歴を確認すること、帰国後2週間程度は健康状態に注意することを呼びかけています。春は旅行やイベント参加の機会が増える時期でもあるため、従業員が移動後に体調変化へ気づけるよう、注意喚起をしておくことが有効です。

また、施設や店舗の側でも、多くの人が集まる時期には「体調不良時は無理をしない」「症状がある場合は早めに相談する」という基本メッセージを、社内で共有しておくことが大切です。大がかりな対策を急に増やすというよりも、まずは周知と初動を整えることが現実的な備えになります。

手洗いだけに頼らず、周知と初動をセットで考える

日常的な衛生管理はもちろん大切ですが、麻しんは空気感染する感染症であり、手洗いだけで十分に防げるものではありません。そのため、施設・店舗での対策は、普段の衛生管理に加えて、症状の共有、体調不良時の行動ルール、接種歴の確認、受診前の連絡といった複数の要素をあわせて考えることが重要です。

特に人の出入りが多い現場では、現場判断に任せきりにせず、「こういう症状があれば相談する」「こういう場合は出勤や来訪前に連絡する」といった基本を共有しておくことで、慌てず対応しやすくなります。

最後に

2026年春の麻しん増加は、医療機関だけの話ではなく、人が集まる施設や店舗にとっても無関係ではありません。だからこそ、まずは麻しんの特徴を知り、症状が出たときの動き方や、接種歴の確認、春の移動シーズンを意識した周知を行っておくことが大切です。

感染症対策は、特別な時だけ強化するものではなく、日頃から現場で迷わず動ける状態にしておくことが重要です。この春は、麻しんをきっかけに、施設・店舗の感染対策の基本を改めて見直してみてはいかがでしょうか。

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