厚生労働省がノロウイルス食中毒予防を改めて通知――調理従事者を介した食品汚染を防ぐ施設の衛生管理

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厚生労働省は2026年10月20日、冬期に増加するノロウイルス食中毒の発生防止に向けて、「ノロウイルスによる食中毒の予防について」を改めて通知しました。

ノロウイルスというと、生牡蠣などの二枚貝を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、実際の食中毒対策では、食品そのものだけでなく、食品を扱う人からの汚染を防ぐことが非常に重要です。

厚生労働省の通知では、ノロウイルスによる食中毒の約8割は、過去の詳報集計において調理従事者を介した食品汚染が原因とされています。また、自治体からの報告では、食品取扱者の手洗いなどが不十分だった事例が半数以上を占めていました。

さらに、嘔吐や下痢などの症状がない調理従事者を介した食中毒事例も継続して報告されています。

今回は、最新の厚生労働省通知をもとに、飲食店、ホテル、旅館、給食施設などで改めて確認しておきたい、調理従事者の健康管理や手洗い、食品の二次汚染防止などの衛生管理について紹介します。

2025年は食中毒患者の75%以上がノロウイルス

2025年の食中毒患者のうちノロウイルス患者が75.1%を占めたことを示す図

厚生労働省が公表している2025年の食中毒発生状況では、年間の食中毒患者数24,727人のうち、ノロウイルスによる患者数は18,566人でした。

割合にすると75.1%で、食中毒患者全体の4分の3以上をノロウイルスが占めています。

事件数でも、年間1,172件のうち462件、39.4%がノロウイルスによるものでした。

ノロウイルスによる食中毒は一年を通して発生しますが、特に冬季に多くなる傾向があります。また、1件の発生で多くの人が同じ食品を食べる飲食店や集団給食施設などでは、大規模な食中毒につながる可能性があります。

「食品」だけでなく「食品を扱う人」に注意

調理従事者の手を介してノロウイルスが食品へ広がる流れのイラスト

ノロウイルスの主な感染経路には、汚染された食品を食べることだけでなく、感染した人の手などを介して食品が汚染され、その食品を食べることも含まれます。

厚生労働省の2026年10月20日の通知では、ノロウイルス食中毒の約8割が、調理従事者を介した食品汚染によるものとされています。

この「約8割」という数字は、平成28年の食中毒詳報報告書の集計を根拠としたものですが、今回の最新通知でも、食品取扱者を介した汚染を防ぐことの重要性を示す情報として使用されています。

さらに、前年の自治体からの報告では、食中毒の発生原因として、食品取扱者の手洗いの実施などが不十分だった事例が半数以上を占めていました。

食品そのものの加熱や保存に注意するだけではなく、「食品を扱う人が食品を汚染しない」という視点が重要です。

症状がなくても感染している場合がある

施設の衛生管理で特に難しいのが、ノロウイルスに感染していても症状が現れない場合があることです。

ノロウイルスに感染すると、一般的には吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの症状がみられますが、感染しても発症しない場合や、軽い症状だけの場合もあります。

厚生労働省は、症状のない調理従事者を介したノロウイルス食中毒事例も継続して報告されているとしており、2026年の通知では、調理従事者がすでにノロウイルスに感染していることを想定した衛生管理を求めています。

「体調が悪そうな人だけ注意すればよい」のではなく、日頃からすべての調理従事者が基本的な衛生管理を続けることが重要です。

就業前の健康確認を習慣にする

調理従事者が就業前に健康状態を確認するイメージ

食品を扱う施設では、調理従事者の健康状態を日常的に確認できる仕組みを整えておきましょう。

厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、調理従事者等が毎日の作業開始前に自らの健康状態を衛生管理者へ報告し、その結果を記録することが示されています。

例えば、次のような症状がないか確認します。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 吐き気
  • 腹痛
  • 発熱

下痢や嘔吐などの症状がある場合は、食品へ直接触れる作業を行わないようにすることが重要です。

また、従業員が体調不良を申告しやすい環境を整え、「誰に報告するのか」「どの作業から外れるのか」などの対応方法をあらかじめ決めておきましょう。

ノロウイルス対策では手洗いが特に重要

食品を扱う前に石けんと流水で手洗いを行う調理従事者

厚生労働省は、手洗いを「手指に付着しているノロウイルスを減らす最も有効な方法」としています。

特に食品を扱う人は、次のようなタイミングで石けんと流水による手洗いを徹底しましょう。

  • 調理を始める前
  • 食品を提供する前
  • トイレを使用した後
  • 下痢や嘔吐物などを処理した後
  • 作業内容が変わるとき
  • 生の肉や魚介類などを扱った後
  • 清掃を行った後

爪を短く保ち、指輪や時計などを外したうえで、石けんを十分に泡立て、指先、指の間、親指、手首など洗い残しやすい部分まで丁寧に洗うことが大切です。

なお、消毒用エタノールによる手指消毒は、石けんと流水による手洗いの代わりにはなりません。すぐに手洗いできない場合などに、一般的な感染症対策として補助的に使用するものとされています。

「手袋をしているから安心」ではない

食品を扱う現場では、使い捨て手袋を使用することもあります。

しかし、手袋を着用していても、手洗いが不要になるわけではありません。

汚れた手で手袋を着用したり、同じ手袋のまま別の作業を続けたりすると、かえって食品や調理器具へ汚染を広げる可能性があります。

手袋を着用する場合も、着用前に適切な手洗いを行い、作業内容が変わる場合や汚染した場合には適切に交換しましょう。

「手袋を使用すること」ではなく、「清潔な手で適切に使用すること」が重要です。

調理器具からの二次汚染も防ぐ

ノロウイルス食中毒の予防では、食品取扱者の手だけでなく、調理器具や作業台などから食品へウイルスが移る二次汚染にも注意が必要です。

調理器具は使用後に十分に洗浄し、必要に応じて適切な方法で消毒します。

厚生労働省では、ノロウイルスに汚染された可能性のある調理器具などについて、十分な洗浄を行ったうえで、熱湯や次亜塩素酸ナトリウムなどを用いた処理方法を案内しています。

まな板、包丁、ふきん、調理台など、食品が直接・間接的に触れる場所を衛生的に管理しましょう。

また、トイレやドアノブなど、調理区域以外の環境から手指を介して食品へ汚染が広がる可能性も考慮する必要があります。

大量調理施設では特に管理を徹底

厚生労働省は今回の通知で、弁当・仕出しを扱う飲食店、旅館、ホテル、集団給食施設など、食中毒が発生した場合に大規模化しやすい施設へ積極的な衛生管理を求めています。

こうした施設では、一人の調理従事者を介した食品汚染が、多数の利用者へ影響する可能性があります。

そのため、手洗いや健康確認だけではなく、施設全体で次のような仕組みを整えておくことが大切です。

  • 作業前の健康状態を確認・記録する
  • 体調不良を速やかに報告できるようにする
  • 手洗いが必要なタイミングを従業員へ共有する
  • 石けんや手洗い設備を正常に使用できる状態に保つ
  • 調理器具や作業場所の洗浄・消毒方法を共有する
  • 嘔吐物等が発生した場合の処理方法を決めておく
  • 必要に応じて検便等を含む健康管理を行う

大量調理施設衛生管理マニュアルでは、10月から3月までの間、必要に応じてノロウイルスを含む検便検査を行うよう努めることなども示されています。

手洗い設備を「使える状態」に保つ

正しい手洗いを呼びかけても、必要な設備や消耗品が不足していては、日常的に衛生管理を続けることができません。

施設では、次のような点を確認しておきましょう。

  • 石けんやハンドソープが補充されているか
  • 水道や自動水栓が正常に使用できるか
  • 手洗い場が清潔に保たれているか
  • 必要なタイミングで手洗いできる場所に設備があるか
  • 手洗い方法を確認できる掲示が必要ではないか
  • 手洗い後に十分に手指を乾燥できる環境になっているか

特に調理従事者が多い施設では、設備を設置するだけでなく、作業中に無理なく利用できる配置や管理方法になっているかも確認しましょう。

手洗い後の乾燥まで含めた衛生環境づくり

施設の手洗いスペースに設置されたNEWスーパーM

手指衛生では、石けんと流水による丁寧な手洗いを行い、その後に清潔な状態で十分に手指を乾燥できる環境を整えておくことも大切です。

NEWスーパーMは、手洗い後の乾燥に利用できるエアータオルです。安全紫外線照射と131℃熱風を採用し、紫外線による除菌・消臭機能を備えています。

また、ドレンタンクの清掃やフィルター交換を必要としないため、多くの人が使用する手洗い設備の日常管理を見直す際の選択肢として活用できます。

ただし、NEWスーパーMを使用することだけでノロウイルス食中毒を防ぐことができるわけではありません。ノロウイルス対策では、石けんと流水による手洗い、調理従事者の健康管理、食品や調理器具の衛生管理などを組み合わせて継続することが重要です。

施設で今一度確認したいポイント

  • 調理従事者の健康状態を毎日確認できているか
  • 体調不良を正確に申告できる仕組みがあるか
  • 下痢や嘔吐などの症状がある人を食品に直接触れる作業から外せるか
  • 石けんと流水による手洗いが徹底されているか
  • 手袋の使用前後にも適切な手洗いを行っているか
  • 調理器具や作業台の洗浄・消毒方法を共有しているか
  • 手洗い設備を常に利用できる状態に保っているか
  • 嘔吐物等が発生した場合の処理方法を決めているか
  • 大量調理施設では必要な健康管理・検便等を確認しているか

まとめ

厚生労働省は2026年10月20日、冬期に増加するノロウイルス食中毒を防ぐため、調理従事者を介した食品汚染の防止を改めて呼びかけました。

2025年にはノロウイルスによる食中毒患者が18,566人となり、年間の食中毒患者全体の75.1%を占めています。

また、食品取扱者の手洗いなどが不十分だった事例が半数以上報告され、嘔吐や下痢などの症状がない調理従事者を介した事例も継続して確認されています。

ノロウイルス食中毒を防ぐためには、「症状のある人だけに注意する」のではなく、すべての食品取扱者が感染している可能性も考慮し、日常的な手洗い、健康管理、調理器具や施設の衛生管理を続けることが重要です。

飲食店、ホテル、旅館、給食施設などでは、冬本番を迎える前に、調理従事者の健康確認や手洗い設備、食品を扱う際のルールを改めて確認しておきましょう。

出典・参考情報(官公庁・公的機関公表資料)

注記:本ページは、ノロウイルスによる食中毒予防および施設・事業所における衛生管理に関する一般的な情報提供を目的として、厚生労働省等の公表資料をもとに作成しています。掲載内容は個別の症状の診断や治療、食品取扱者の就業可否等の判断に代わるものではありません。嘔吐、下痢、腹痛などの症状がある場合は医療機関へご相談ください。食品等事業者は、関係法令、自治体の指導、各施設の衛生管理基準等もあわせてご確認ください。

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