指定ごみ袋の値上げが相次ぐ――家庭ごみ有料化の動きと、施設で見直したいごみの減量・衛生管理

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日常生活に欠かせない「指定ごみ袋」。2026年は、原材料費や製造コストなどの上昇を背景に、指定ごみ袋の価格を改定する自治体がみられています。

一方で、指定ごみ袋の価格が上がる理由は自治体によって同じではありません。袋そのものの製造コスト上昇を反映するケースもあれば、ごみの収集・運搬などにかかる手数料を見直すケースもあります。

さらに、ごみ減量の方法として「家庭ごみ有料化」を導入する自治体は全国的に増えており、東京都でも東京23区における今後のごみ減量策の一つとして議論されています。

今回は、指定ごみ袋の価格上昇の背景や実際の自治体の事例、「指定ごみ袋の値上げ」と「家庭ごみ有料化」の違い、そして家庭や施設で見直したいごみ減量と衛生管理について紹介します。

指定ごみ袋の価格を見直す自治体も

2026年には、複数の自治体で指定ごみ袋の価格改定が行われています。

例えば滋賀県彦根市では、原材料価格等の上昇や製造費の高騰を受け、2026年6月から指定専用袋の希望小売価格を変更しました。

家庭用の燃やすごみ指定専用袋40L・10枚入りは、税抜130円から230円へ改定されています。

鹿児島県枕崎市でも、原材料費や製造コストの高騰、中東情勢の影響による原油価格の上昇などを理由に、2026年6月から指定ごみ袋の価格を改定しました。

もえるごみ用の大サイズは、20枚入り400円から520円へ変更されています。

福島県二本松市では、指定ごみ袋の価格上昇要因として、原料となるプラスチックの価格上昇だけでなく、円安による輸入費用、工場の電気代、人件費、物流費など、製造から配送まで幅広いコストの増加を挙げています。

なぜ指定ごみ袋の価格が上がっている?

原材料費や製造費、物流費の上昇が指定ごみ袋の価格に影響する流れのイラスト

指定ごみ袋の多くは、ポリエチレンなどのプラスチックを使用して製造されています。

そのため、石油由来原料の価格や輸入コストが上昇すると、ごみ袋の製造価格にも影響します。

さらに現在は、原材料だけでなく、次のようなコストも価格へ影響しています。

  • プラスチック原料の価格上昇
  • 原油価格などの上昇
  • 円安による輸入費用の増加
  • 製造工場の電気代
  • 人件費
  • 包装などに必要な資材費
  • 工場から販売店までの物流費

つまり、指定ごみ袋の価格上昇は、単純に「プラスチックが高くなった」ことだけではなく、製造から販売までのさまざまなコストが積み重なった結果と考える必要があります。

「指定ごみ袋の値上げ」と「家庭ごみ有料化」は同じではない

指定ごみ袋の価格改定と家庭ごみ有料化の違いを示したイラスト

ここで注意したいのが、「指定ごみ袋の価格改定」と「家庭ごみ有料化」は、必ずしも同じものではないということです。

原材料費や製造費の上昇によって、袋そのものの販売価格が上がる場合があります。

一方、環境省が示す一般廃棄物処理の有料化では、ごみの排出量に応じて排出者が処理手数料を負担する仕組みなどが採用されています。

その目的には、ごみの排出抑制やリサイクルの推進、排出量に応じた負担の公平化、住民や事業者の意識改革などがあります。

北海道北見市では、2026年10月にごみの収集運搬手数料を改定しました。

燃やすごみ用45Lの指定袋は10枚900円から1,350円へ変更されていますが、これは単なる袋の製造価格だけではなく、ごみ収集運搬手数料の改定として行われています。

指定袋の価格を見るときには、「袋そのものの価格なのか」「ごみ処理や収集に関する手数料が含まれているのか」を確認することが大切です。

全国では約7割の自治体が家庭ごみを有料化

家庭ごみ有料化は、すでに全国の多くの自治体で導入されています。

東京都環境局によると、2024年度末時点で全国1,741自治体のうち1,172自治体が家庭ごみ有料化を実施しており、その割合は約7割です。

有料化の方法は自治体によって異なりますが、指定ごみ袋などを利用し、ごみを多く排出するほど負担も増える仕組みが一般的です。

環境省は、有料化によって費用負担を軽減しようとする意識が働くことで、ごみの排出抑制や再生利用の促進につながることを期待しています。

また、ごみの量を減らすことができれば、焼却量や最終処分量の減少、収集・運搬や処理にかかる費用の低減などにつながる可能性があります。

東京23区では未実施、多摩地域では広く導入

東京都内でも、地域によって家庭ごみ有料化の状況は大きく異なります。

東京都環境局によると、多摩地域では家庭ごみ有料化が広く導入されており、29市町で実施されています。

一方、東京23区では、現在のところ家庭ごみ有料化は実施されていません。

東京都は家庭ごみ有料化を、ごみ減量に有用な方策の一つとして位置づけ、区市町村との共同検討などを続けています。

2025年度時点では、23区のうち18区が一般廃棄物処理計画の中で、発生抑制を効果的に進める方策として家庭ごみ有料化を検討課題に挙げています。

ただし、これは「東京23区で有料化が決定した」という意味ではありません。

一般廃棄物の処理や減量施策については各区市町村が判断することとなっており、東京都も、家庭ごみ有料化を導入するかどうかは各自治体が判断するとしています。

多摩地域ではごみ減量の効果も

東京都環境局によると、多摩地域では家庭ごみ有料化の導入開始から10年後のごみ減量効果として、2割以上の削減を達成しています。

東京都は、有料化による経済的な動機付けだけでなく、分別やリサイクルなどさまざまな施策を組み合わせることで、ごみ排出量の削減につながっていると説明しています。

ごみが減れば、清掃工場などの施設規模や将来的な財政負担を抑えること、最終処分場を長く使用すること、焼却に伴う温室効果ガスを削減することなども期待できます。

価格を据え置く自治体もある

原材料や製造費が上昇しているからといって、すべての自治体が指定ごみ袋を値上げしているわけではありません。

熊本県あさぎり町では、物価高騰や世界的な石油原材料不足の影響で指定ごみ袋の製造コストが上昇していますが、国の「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」を活用し、販売価格を据え置いています。

自治体の財政状況や制度によって、製造コストの上昇を販売価格へ反映するのか、自治体側で負担するのかといった対応は異なります。

福岡県那珂川市では、2008年度に改定した指定ごみ袋価格を長期間維持してきましたが、近年の物価高騰などを受け、2027年4月から価格を改定する予定です。

家庭用燃えるごみ袋の大サイズ10枚入りは、390円から450円へ変更されます。

札幌市では製造費増加でも価格転嫁せず

札幌市でも2026年、中東情勢の影響による原材料価格の高騰によって、家庭用指定ごみ袋の製造費が増加しました。

市は補正予算によって追加の製造費を確保し、指定ごみ袋の価格には転嫁しない対応をとっています。

一方で、指定ごみ袋の購入量が急増したことで一部店舗の在庫が不足し、2026年6月15日から9月30日まで、燃やせるごみ・燃やせないごみについて透明または半透明の袋でも排出できる臨時措置が行われました。

現在は在庫が回復し、10月1日から通常どおり指定ごみ袋を使用する運用へ戻っています。

指定ごみ袋の購入が一時的に集中すると、店頭在庫の不足につながる場合があります。必要以上の買いだめは避け、必要な量を適切に購入することが大切です。

ごみ袋の値上げをきっかけに「ごみの量」を見直す

指定ごみ袋の価格が上がると、家庭や施設にとって日常的な負担も増えます。

しかし、袋の価格だけを見るのではなく、この機会に「そもそも捨てる量を減らせないか」という視点で見直してみることも大切です。

例えば、次のような取り組みがあります。

  • 資源として回収できる紙、びん、缶、ペットボトルなどを適切に分別する
  • プラスチックなど自治体が資源回収しているものを燃やすごみへ混ぜない
  • 食品を必要な量だけ購入し、食品ロスを減らす
  • 生ごみは水分をできるだけ切ってから捨てる
  • 使い捨て用品を必要以上に使用しない
  • まだ使える物は再使用やリサイクルを検討する
  • ごみの量に合った適切なサイズの袋を選ぶ

ごみを減らすことは、指定ごみ袋の使用枚数を抑えるだけでなく、ごみ収集・焼却・最終処分にかかる負担を減らすことにもつながります。

施設・事業所ではごみ保管場所の衛生管理も

施設で分別されたごみを衛生的に保管しているイメージ

施設や事業所では、ごみの量を減らすことと同時に、ごみを衛生的に管理することも重要です。

特に食品を扱う施設や多くの人が利用する施設では、生ごみや使用済み衛生用品などを長時間放置すると、悪臭や害虫などの原因になる場合があります。

次のような点を確認しておきましょう。

  • ごみ箱や保管容器のふたが適切に閉まるか
  • 袋から液体が漏れていないか
  • ごみ箱や保管場所を定期的に清掃しているか
  • 生ごみなどを必要以上に長期間保管していないか
  • 資源ごみと廃棄物を適切に分別しているか
  • 収集日や回収ルールが従業員へ共有されているか
  • 害虫や動物が入り込まないよう管理できているか

「ごみを減らすこと」と「衛生的に保管すること」は、どちらか一方だけではなく、日常の施設管理としてあわせて取り組むことが大切です。

手洗い場の消耗品と廃棄物も見直す

施設の手洗い場に設置されたNEWスーパーM

施設で日常的に発生するごみには、オフィスや厨房から出るものだけでなく、手洗い場で使用する消耗品などもあります。

例えば、手洗い後の乾燥にペーパータオルを使用している施設では、利用者が多いほど使用済みペーパーが継続的に発生します。また、ペーパータオルそのものだけでなく、回収に使用するごみ袋も必要になります。

さらに、消耗品の購入や在庫保管、補充、ごみ箱の回収・清掃など、日常的な管理作業も発生します。

NEWスーパーMは、手洗い後の乾燥に利用できるエアータオルです。ペーパータオルを使用しない運用とすることで、手洗い場から発生する紙ごみを減らすだけでなく、ペーパータオルの購入・補充・保管や、使用済みペーパーの回収といった管理業務を見直す際の選択肢として活用できます。

施設全体のごみ削減を考える際には、厨房やオフィスから出るごみだけでなく、日常的に使用している消耗品についても、使用量や設備を含めて見直すことが大切です。

ただし、NEWスーパーMの導入によって、ごみ処理費や指定ごみ袋の使用量が必ず一定量削減されるものではありません。施設の利用人数や現在のペーパータオル使用量、衛生管理方針などを踏まえ、それぞれの施設に合った方法を検討しましょう。

また、ごみの分別方法や事業系ごみの処理方法、処理手数料などは自治体や契約内容によって異なります。施設や事業所では、所在地の自治体や廃棄物処理事業者のルールも確認しておきましょう。

まとめ

2026年は、原材料価格や製造費、物流費などの上昇を背景に、指定ごみ袋の価格を改定する自治体がみられています。

一方で、指定ごみ袋の価格上昇には、袋そのものの製造費を反映したケースと、ごみの収集・運搬などに関する手数料を見直したケースがあり、その仕組みは自治体によって異なります。

家庭ごみ有料化も全国の約7割の自治体で導入されていますが、東京23区では現在のところ未実施で、今後のごみ減量策の一つとして検討が続けられています。

指定ごみ袋の価格上昇や有料化の議論を、「袋が高くなる」という負担だけの問題として捉えるのではなく、分別、食品ロス削減、再使用・リサイクルなど、ごみそのものを減らす機会として考えることも大切です。

施設や事業所でも、分別や食品ロス削減に加え、ペーパータオルをはじめとする日常的な消耗品から発生するごみについて、使用方法や設備のあり方も含めて見直し、衛生管理と両立しながら無理なく継続できるごみ減量に取り組んでいきましょう。

出典・参考情報(官公庁・公的機関公表資料)

注記:本ページは、指定ごみ袋の価格改定や家庭ごみ有料化、ごみ減量に関する一般的な情報提供を目的として、国・自治体等の公表資料をもとに作成しています。指定ごみ袋の価格、家庭ごみ・事業系ごみの分別方法、処理手数料、収集方法等は自治体によって異なり、今後変更される場合があります。実際にごみを排出する際は、お住まいの自治体または施設所在地の自治体が公表する最新情報をご確認ください。

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