麻疹(はしか)の流行と予防について

衛生関連情報

2024年2月、奈良市で20代の外国人旅行者が麻疹と診断され、これが日本での麻疹集団感染の一例となりました。この患者は、海外からの「輸入事例」として麻疹を日本に持ち込んだことが明らかになっています。さらに、大阪府東大阪市でも、海外旅行歴のある20代男性が麻疹と診断されました。これらのケースは、いずれも海外での感染が起点となっています​​。

日本では、麻疹の全数届出制度が2008年に始まり、以降2021年までの間、年間の届出数は6〜744例で推移していました。特に2019年は2009年以降で最多の744例が届出されましたが、2020年以降は10例以下と大幅に減少し、2022年は6例でした​​。

東京都における2023年の麻疹報告数の詳細に関しては、東京都感染症情報センターが提供する情報が参考になります。ここでは、報告数の推移、年齢階級別・性別報告数、ワクチン接種歴別報告数などの詳細が公開されています​​。

これらの事例から、日本における麻疹の流行は主に海外からの輸入事例が起点となっており、特にコロナ禍での国際交通の再開により、世界中で麻疹の患者が増加し、その影響が日本にも及んでいることが示されています。確実な予防策としては、ワクチン接種が最も効果的であり、海外渡航者や訪日外国人との接触機会がある人に対して特に推奨されています​​。

麻疹の感染経路

麻疹は、麻疹ウイルスによって引き起こされる極めて感染力の高い病気です。以下の経路で感染が広がります:

1.飛沫感染:
感染した人が咳やくしゃみをした際に飛び散る飛沫を直接吸い込むことで感染します。
2.空気感染:
感染した人がいた空間に残ったウイルスを含む微小な飛沫核を吸い込むことでも感染します。麻疹ウイルスは空気中で数時間生存することができるため、感染者がいた後もしばらくの間、その場所は感染リスクがあります。
3.接触感染:
感染した人が触れた物や表面に残ったウイルスに触れた後、自らの口や鼻、目を触ることで感染する場合もありますが、この経路は主な感染ルートではありません。

麻疹の症状

麻疹の感染後、典型的には以下のような症状が現れます:

1.潜伏期間:
感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は約10日から14日です。
2.初期症状(発熱期):
最初の症状は高熱(39℃以上)、咳、鼻水、結膜炎(目が赤くなる)などの風邪に似た症状です。この期間は約2から4日続きます。
3.コプリック斑:
初期症状の後、口の中に小さな白い斑点(コプリック斑)が現れることがあります。これは麻疹の特徴的な徴候の一つですが、全ての患者に見られるわけではありません。
4.発疹期:
初期症状の後、体の中心部から始まり、顔や首に広がる赤い発疹が出現します。発疹は数日のうちに全身に広がります。この時期にも高熱が続くことがあります。

日本における麻疹の現状

日本では、麻疹に対する予防策として、乳幼児期に麻疹・風疹(MR)混合ワクチンの接種が推奨されています。これにより、麻疹の流行を大幅に抑制することに成功しています。しかし、ワクチン接種を受けていない個人や、ワクチンの効果が不完全な個人においては、依然として感染リスクが存在します。

公衆衛生対策と予防

麻疹の輸入による国内での流行を抑制するため、日本政府および地方自治体は以下の対策を講じることが重要です:

  • 国際旅行者向けの予防接種推奨: 海外旅行前の麻疹ワクチンの接種を推奨し、特に麻疹が流行している地域への旅行者に対しては、出発前に免疫状態の確認と必要に応じた追加接種を促します。
  • 入国時の健康チェックと情報提供: 空港や港での健康チェックを強化し、麻疹に関する情報を多言語で提供することで、日本に到着した旅行者が自身の健康状態に注意を払い、必要に応じて速やかに医療機関を受診できるようにします。
  • 公衆衛生キャンペーンの実施: 麻疹に関する正確な情報と予防接種の重要性を広く啓蒙することで、社会全体の意識を高め、ワクチン接種率の向上を図ります。
  • 監視体制の強化: 国内外での麻疹の流行状況に関する情報を迅速に収集・分析し、公衆衛生上のリスクが高まった際には早期に警告を発するとともに、対応策を速やかに実施します。

個人でできる予防方法

麻疹に対する最も効果的な予防策はワクチン接種です。幼少期に推奨される麻疹・風疹(MR)混合ワクチンの2回接種を完了していることを確認してください。接種記録が不明な場合や接種を受けていない場合は、医療機関で相談し、必要に応じてワクチン接種を受けましょう。

日常生活では、手洗い、うがい、消毒による、感染対策が効果的です。麻疹の原因は麻疹ウイルスよって引き起こされます。手洗い時に除菌効果の高いNEWスーパーMを使うなどして、ウィルス感染を予防しましょう。

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