感染性胃腸炎が過去10年で最多に!
2025年の感染性胃腸炎は、例年を大きく上回る流行を見せています。以下のグラフは、過去10年間の週ごとの定点当たり報告数を比較したものです。
特に2025年(赤線)は、年始から5月にかけて20件を超える週も確認され、過去最多となっています。
感染性胃腸炎とは?
ウイルスだけではありません。感染性胃腸炎には以下のように多様な病原体が関与しています。
分類 | 主な病原体 | 潜伏期間 | 主な症状・特徴 |
---|---|---|---|
ウイルス | ノロ、ロタ、サポ、アストロ、アデノウイルスなど | 1〜3日 | 嘔吐・下痢・軽い発熱 |
細菌 | 大腸菌(O157など)、カンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオなど | 数時間〜数日 | 高熱、血便、激しい腹痛 |
寄生虫・原虫 | クリプトスポリジウム、ジアルジア、アメーバ赤痢など | 数日〜1週間 | 長引く下痢・体重減少・脱水に注意 |
真菌(まれ) | カンジダなど(免疫低下時) | — | 慢性下痢、まれに重篤化 |
ウイルス性胃腸炎 ― 特徴・流行時期・予防法まとめ
感染性胃腸炎の中でも、最も集団感染が多く、冬季に急増するのがウイルス性です。中でも以下の4つのウイルスが代表的
ウイルス名 | 主な対象 | 主な症状 | 潜伏期間 | 感染力 | 流行時期 | 予防ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|
ノロウイルス | 全年齢 | 嘔吐、下痢、腹痛 | 1〜2日 | 非常に強い | 11月〜3月 | 手洗い+次亜塩素酸、二次感染に注意 |
ロタウイルス | 乳幼児 | 白色下痢、発熱 | 1〜3日 | 中〜強 | 2月〜5月 | ワクチンで予防可、脱水に要注意 |
サポウイルス | 幼児・高齢者 | 嘔吐、軽い下痢 | 1〜3日 | やや強い | 11月〜4月 | ノロに類似、食事・接触感染に注意 |
アストロウイルス | 乳幼児・高齢者 | 軽度下痢のみ(嘔吐は稀) | 2〜4日 | 弱め | 12月〜4月 | 保育園・施設で注意、軽症でも広がる可能性 |
ノロウイルス
- 最も感染力が強く、たった10〜100個のウイルス粒子で発症することも。
- 嘔吐物・下痢・飛沫・ドアノブなどから簡単に広がる。
- アルコール消毒は無効なため、塩素系消毒剤が必要。
- 発症後も 1週間以上ウイルスが便に排出される。
ロタウイルス
- 特に0〜2歳の乳児に重症化しやすく、白っぽい水様下痢が特徴。
- ワクチン(ロタリックス・ロタテック)が定期接種に。
- 兄弟間や保育園での2次感染にも注意。
サポウイルス
- ノロに似た症状で、幼児〜高齢者まで広く感染。
- 食品媒介だけでなく、接触感染や空気感染の例も。
- ノロと区別しにくいため、保健所などで検査するまで判明しないことも多い。
アストロウイルス
- 症状は軽め(下痢が主)で、保育園や小学校での小規模流行が多い。
- 発熱や嘔吐が目立たず、気づかれにくく感染が拡大しやすい。
直近の集団感染事例
東北地方の教育・保育施設
園児と職員あわせて13人が嘔吐や下痢などの症状を訴え、感染性胃腸炎の集団感染が発生しました。ノロウイルスによるものとみられています。
北海道の保育施設
園児15人に胃腸炎の症状が確認され、検査の結果、一部からノロウイルスが検出されています。
九州地方の保育施設
複数の施設で園児と職員が体調不良を訴え、感染性胃腸炎の集団感染が疑われています。ノロウイルスやサポウイルスなどの検出も報告されています。
今できる予防対策
- 手洗いは石けんと流水で
- ノロウイルスはアルコールに強いため、石けんを使って20秒以上かけて丁寧に洗い、その後、流水でしっかりと洗い流すことが基本です。
- 嘔吐物の処理には次亜塩素酸
- 塩素系漂白剤を0.1%に薄めた消毒液を用意し、マスクと手袋を着用のうえ、速やかに処理を行いましょう。
- 加熱調理を徹底
- 食品は85℃以上で90秒以上加熱。特に牡蠣や魚介類の生食は控えましょう。
まとめ
2025年の感染性胃腸炎は、過去10年間で最も多い流行となっています。原因はノロウイルスやロタウイルスに加え、サポウイルス、アストロウイルス、さらには細菌や寄生虫など、多岐にわたります。
感染を防ぐには、こまめな手洗いや消毒、食材の十分な加熱など、基本的な衛生対策の徹底が重要です。日常の小さな習慣が、大きな感染拡大を防ぐ力になります。
特に、トイレの使用後や外出から戻られた際には、丁寧な手洗いの後、NEWスーパーMで手指をしっかり乾燥・除菌するなど、確実な感染対策を心がけましょう。