高まる麻しんのリスク――今こそ予防を徹底しましょう

ウイルス関連情報, 衛生関連情報

2025年に入り、麻しん(はしか)の感染が国内外で再び注目されています。麻しんは非常に感染力の強いウイルス感染症で、主な症状は高熱、発疹、咳、鼻水、結膜炎などのカタル症状です。重症化することもあり、肺炎や脳炎といった合併症によって、命に関わるケースも報告されています。
麻しんウイルスは空気感染するため、マスクや手洗いだけでは予防できません。さらに、発熱が出る前から人にうつす可能性があり、1人の患者から多数に感染が拡大することも珍しくありません。そのため、ワクチン接種による事前の予防が非常に重要です。

麻しんの予防にはワクチンが最も有効

麻しんに特効薬はなく、治療は対症療法が中心となります。したがって、感染を未然に防ぐことが最も重要です。現在、麻しんは風しんと合わせた「MRワクチン」として定期接種が行われており、1歳と小学校入学前の2回接種が推奨されています。
過去にワクチン接種を受けていない、あるいは接種歴が不明な方は、医師に相談のうえ、必要に応じてワクチンを受けるようにしましょう。特に海外渡航を予定している方、乳幼児と接する機会が多い方、医療従事者などは、接種歴の確認が重要です。

海外からの輸入症例が増加傾向

近年は、麻しんを国内で排除した状態が続いていましたが、2025年に入ってから再び感染者数が増加傾向にあります。特に第8週以降、報告数が急増しており、2020年から2024年の同時期を上回る状況です。
報告された症例の多くは海外からの輸入例で、ベトナムやタイ、フィリピン、欧州など、渡航先で感染して帰国後に発症するケースが増えています。これにより、国内での二次感染のリスクも高まっており、社会全体としての警戒が必要です。

国際的イベントは感染病リスクを高める

大阪・関西万博は、市民はもちろん、日本全土からの旅行者や外国人観光客など、不特定多数が一緒に集まる「マスギャザリング」とよばれる環境です。
こういった場所は感染病の拡大リスクが高く、特に高い感染力を持つ麻しんについては、いま一度その必要性が保健管理者の間でも指摘されています。
関西万博に行く予定がある方や、観光事業の方は特に、あらかじめ予防採策を確認しておくことが大切です。

おわりに

麻しんは”もう過去の病気”ではありません。感染拡大を防ぐためには、社会全体で予防意識を持つことが必要不可欠です。自身のワクチン接種歴を確認し、必要に応じて接種を受けること、そして疑わしい症状が出た際には速やかに医療機関に相談することが重要です。
感染症は「自分がかからない」だけでなく、「周りにうつさない」という視点でも行動することが、社会全体の安心につながります。

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