避難所での食事提供 〜食中毒予防〜
近年、各地で大規模な自然災害が頻発し、避難所生活を余儀なくされることが増えています。その中で、ライフラインの停止や衛生用品の不足などにより、食品の衛生管理が難しくなり、避難所で提供された食事による食中毒が発生した事例もあります。
過去の災害時における食中毒事例
- 炊き出しで提供された鶏肉料理からウェルシュ菌が検出され、食中毒が発生
- おにぎりに付着した黄色ブドウ球菌による食中毒
避難所で安全な食事を提供するためには、食中毒予防策を徹底することが重要です。以下に、提供者側および食事を受け取る側が注意すべきポイントをまとめました。
提供者側が注意すべき食中毒予防策
- 炊き出しの場所選び
- 調理場所はトイレや食品廃棄場所から離れた場所を選び、仕切りなどで衛生環境を確保します。
- 体調不良時の調理禁止
- 下痢や嘔吐、発熱がある場合は調理や配布を行わない。手に傷がある場合も同様です。
- しっかりとした手洗い
- 十分な水が確保できない場合は、ウエットティッシュやアルコール消毒を活用。盛り付け時には使い捨て手袋を使用し、手袋にアルコール消毒液をかけます。
- 加熱済みの食品を提供
- 可能な限り加熱調理した食品を提供し、生ものは避ける。食品の中心部までしっかりと加熱することが重要です。
- 食材に直接触れない
- おにぎりなどを作る際は、使い捨て手袋やラップを使用し、食品に直接手で触れないようにしましょう。
- 調理器具の徹底消毒
- 使用した調理器具(まな板、包丁、ふきんなど)は、使用後にしっかり洗浄し、熱湯や塩素系漂白剤で消毒を行います。
食事を受け取る側が注意すべきポイント
- 手洗いの徹底
- 食事前に石鹸を使って手を洗います。水が不足している場合は、ウエットティッシュやアルコール消毒で代用します。
- 早めに食べる
- 食事はなるべく早く食べるようにし、食べ残しはすぐに捨てることが、食中毒のリスクを減らすために重要です。
その他のポイント
- 消費期限と賞味期限の確認
- 消費期限は安全に食べられる期限、賞味期限はおいしく食べられる期限です。どちらも、表示された保存方法に従って保存されている場合に適用されます。
- 食器の洗浄
- 食器は使用後にしっかり洗浄しましょう。水が使えない場合は、お皿にラップを巻いて使い、使用後にラップを捨てると衛生的です。
避難所では、衛生環境の確保が難しいため、提供者も受け取る側も、それぞれが衛生管理に気を配ることが大切です。皆で協力し、安全な食事を維持しましょう。